[LS12] 集中治療領域におけるカフ上部吸引孔付き気管チューブの有用性
集中治療室や手術室で人工呼吸管理をする際、カフ付き気管チューブを使用することが多く、適切なサイズや挿入長だけでなく、適切なカフ圧管理が求められる。また気管チューブや気管切開チューブなど人工気道を使用すると、口腔内分泌物や胃内容物がこれらのチューブを伝わり下気道に垂れ込むことで様々な細菌により肺炎が引き起こされる可能性がある。人工呼吸器関連肺炎(VAP; Ventilator-associated Pnemonia)は人工呼吸開始前に肺炎がない患者で、気管挿管による人工呼吸開始48時間後より発症する肺炎と定義され、口腔内分泌物の下気道への垂れ込み(Microaspiration)がその原因の一つである。(1)手指衛生の実施、(2)人工呼吸器回路の頻回な交換を避けること、(3)過度な鎮静を避けること、(4)人工呼吸器からの離脱、(5)患者を仰臥位で人工呼吸管理しないことなどVAPバンドルが用いられ、その発症の予防に努めている。Microaspirationを予防するため人工呼吸管理中、患者の仰臥位を避け、カフ圧を20cmH2O以上で維持し、カフ上部に貯留する口腔内分泌物を吸引除去することが推奨される。マイクロカフSubglottic気管チューブは10μmの薄型ポリウレタン製カフを有したカフ上吸引孔付きカフ付き気管チューブで、カフ部分は800cmH2Oの圧でも破裂しない強度を有している。またカフ上部に貯留した口腔内分泌物を吸引除去することができ、VAPの発症を予防することが期待される。
ここでは気管への密着性という観点からカフの材質や性状についてとカフ上部吸引の重要性について解説する。

ここでは気管への密着性という観点からカフの材質や性状についてとカフ上部吸引の重要性について解説する。
