第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

教育セミナー(ランチョン)

[LS24] 教育セミナー(ランチョン)24

遠隔医療ICUの現状と将来のめざす姿

2019年3月2日(土) 12:40 〜 13:40 第20会場 (グランドプリンスホテル京都B2F ゴールドルーム)

座長:後藤 隆久(公立大学法人横浜市立大学附属市民総合医療センター/横浜市立大学大学院 医学研究科 麻酔科学)

共催:株式会社フィリップス・ジャパン

[LS24] 遠隔医療ICUの現状と将来のめざす姿

大嶽 浩司 (昭和大学医学部麻酔科学講座)

近年政府は遠隔診療を積極的に推進し、平成30年診療報酬改定で再診料の中に生活習慣病や慢性疾患の管理に対するオンライン診療(月1回70点)が新設されました。
世界では集中治療を始めとする高度急性期医療のエリアでも遠隔診療が導入されています。特にアメリカではすでに13%ほどのICUに遠隔集中治療プログラム(eCare Manager®, Phillips)が導入され、医療の質の向上と、その結果医療費の削減効果があることが示されています。
日本においては高齢化と医療の高度化により、集中治療のニーズは拡大している一方、集中治療の担い手(医師・看護師)の育成は間に合っていません。さらに、集中治療専門医数は、最小の県で人口100万人あたり2人であるのに、多い県では24人と地域差が大きいことも問題です。
これらの問題を解決すべく昭和大学では東京都にある2つの附属病院の5つの重症病棟の計49床が支援センターとを結んで、アジアでは初めて遠隔集中治療プログラム(以下、eICU)を導入し、平成30年の4月から臨床運用を開始しました。eICUは、複数病院のICUの全ベッドにテレビ電話を設置し、集中治療専門医、専門看護師の常駐する支援センターとをIOTでつなぎ、全患者の情報が一覧できるようにしたもので、ベッドサイドと支援センターが連携して医療の質をあげる仕組みです。eCare Manager®には、リアルタイムの患者の重症度や、いま介入を行うべき患者の優先順位を示す機能が付いており、専門スタッフのdecision makingを補助することができるのが特徴です。
本講演では、eICUによりどのように集中治療の生産性が向上し、診療アウトカムが改善するか、また将来の方向性はどうなるのかなどを示したいと思います。