第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

教育セミナー(ランチョン)

[LS25] 教育セミナー(ランチョン)25

循環器救急疾患の初期対応とリスク層別化ー急性心不全を中心にー

2019年3月2日(土) 12:40 〜 13:40 第22会場 (グランドプリンスホテル京都1F ロイヤルルーム)

座長:讃井 將満(自治医科大学附属さいたま医療センター集中治療部)

共催:サーモフィッシャーダイアグノスティックス株式会社

[LS25] 循環器救急疾患の初期対応とリスク層別化ー急性心不全を中心にー

佐藤 直樹 (日本医科大学武蔵小杉病院循環器内科・集中治療室)

循環器疾患による死亡は癌に続き多く、医療費は莫大な額が費やされている。今後、益々循環器疾患は増加し、それに伴って循環器救急疾患も増加の一途をたどることが予測されている。このような背景を踏まえて、2018年12月に「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法」が国会で可決・成立し、公布された。これにより、循環器疾患に関する対応が一層強化されることになる。循環器疾患における救急疾患の中で、急性冠症候群、急性大動脈疾患、急性肺血栓塞栓症とともに、現在、最も国際的に問題視されているのが急性心不全である。心不全は、急性心筋梗塞のように一般国民にも認知されておらず、さらなる啓発が行われるべきとの考えから、2018年10月に日本循環器学会・日本心不全学会から一般向けにマスメディアを通じて、心不全の定義が公表された。この啓発活動の欧米に比して遅れており今後活動を加速し一人でも多くの心不全患者がより早期に医療機関を受診するような活動が求められている。このような啓発とともに、超高齢者社会にも関連して増加の一途を辿っている急性心不全に対する対応も緊急を要する。循環器関連の施設だけで、年間25万人以上の心不全患者が入院し、その内、急性心不全患者が約半数を占める。さらに、急性心不全の半数近くが循環器内科以外の救命救急センター、集中治療室あるいはERで対応されていると言われている。従って、急性心不全はいわばcommon diseaseとしてその初期対応およびリスク層別化がなされ対応することが求められる。今回の講演では、急性心不全を中心とした循環器救急疾患に対するガイドラインを踏まえた初期対応法を総括するとともに、欧米で実践されている新たなバイマーカーによるマネージメントについても紹介しながら、今後の日本における循環器救急疾患の対応を考えてみたい。