[LS28] 敗血症診断の新たな潮流 -敗血症診療ガイドラインにおけるバイオマーカーの位置付け-
敗血症患者は年々増加傾向にあり、世界規模ではこの10年で約3倍に増加した。また、敗血症時の生体反応は極めて複雑な一連の連鎖であり、炎症および抗炎症過程、体液性および細胞性反応、あるいは循環異常などの様々な反応が出現する病態であるため、診断・治療に難渋する事が多い。。このため、現時点においてICUで治療を受けた敗血症患者の30%以上が退院することなく死亡している。2016-2017年は敗血症の診断ならびに治療の新たな幕開けの年であった。2016年2月に、これまでの敗血症の概念を一変したSepsis-3の定義と診断基準が公表され、2017年3月には国際版敗血症診療ガイドラインであるSurviving Sepsis Campaign: International Guidelines for Management of Sepsis and Septic Shock: 2016が公表された。国内においては2017年2月には日本版敗血症診療ガイドライン第2版が公表された。
敗血症の概念は1991年以来、25年余りの間「感染に伴って生じた全身性の炎症状態」と定義され、診断基準にはSIRSの診断が必須であった。これに対して、Sepsis-3の概念は「感染に対する制御不能な宿主反応の調整不全に起因した、生命を脅かす臓器障害」とされ、その診断には臓器障害重症度スコアであるSOFAスコアの評価が必要となった。つまり、Sepsis-3で敗血症と診断される患者は感染症に起因した臓器障害を併発しており、これまで以上に、ICU管理を必要とする重症患者といえる。
一方、日本版敗血症診療ガイドラインは2012年11月の初版が公表されて以来、約4年振りに改訂された。
敗血症の早期診断ならびに早期治療介入が患者転帰を改善させるのは言うまでもない。このような中、近年敗血症の早期診断マーカーとしてプレセプシン(P-SEP)の有用性が注目されている。P-SEPはこれまで敗血症診断に有用とされてきたプロカルシトニン(PCT)やIL-6よりも診断能が高く、早期診断が可能で、病勢を鋭敏に反映し、臓器障害や敗血症性凝固障害の程度も反映するマーカーであることが数多く報告された。これにより、日本版敗血症診療ガイドライン2016ではICUなどの重症患者において敗血症が疑われる場合、感染症診断の補助検査として、P-SEPは他の何れの診断マーカーよりも測定が推奨されている。
敗血症の診断基準が新たに改定されたのに伴い、Sepsis-3での敗血症診断マーカーの有用性評価が必要となった。現在、当施設ではSepsis-3の診断基準を用いてP-SEPの敗血症診断能の是非を検討中である。本講演ではその結果も報告させて頂く。
敗血症の概念は1991年以来、25年余りの間「感染に伴って生じた全身性の炎症状態」と定義され、診断基準にはSIRSの診断が必須であった。これに対して、Sepsis-3の概念は「感染に対する制御不能な宿主反応の調整不全に起因した、生命を脅かす臓器障害」とされ、その診断には臓器障害重症度スコアであるSOFAスコアの評価が必要となった。つまり、Sepsis-3で敗血症と診断される患者は感染症に起因した臓器障害を併発しており、これまで以上に、ICU管理を必要とする重症患者といえる。
一方、日本版敗血症診療ガイドラインは2012年11月の初版が公表されて以来、約4年振りに改訂された。
敗血症の早期診断ならびに早期治療介入が患者転帰を改善させるのは言うまでもない。このような中、近年敗血症の早期診断マーカーとしてプレセプシン(P-SEP)の有用性が注目されている。P-SEPはこれまで敗血症診断に有用とされてきたプロカルシトニン(PCT)やIL-6よりも診断能が高く、早期診断が可能で、病勢を鋭敏に反映し、臓器障害や敗血症性凝固障害の程度も反映するマーカーであることが数多く報告された。これにより、日本版敗血症診療ガイドライン2016ではICUなどの重症患者において敗血症が疑われる場合、感染症診断の補助検査として、P-SEPは他の何れの診断マーカーよりも測定が推奨されている。
敗血症の診断基準が新たに改定されたのに伴い、Sepsis-3での敗血症診断マーカーの有用性評価が必要となった。現在、当施設ではSepsis-3の診断基準を用いてP-SEPの敗血症診断能の是非を検討中である。本講演ではその結果も報告させて頂く。