[LS30-1] 敗血症病態における血栓形成の光と影
敗血症の際には、白血球や血管内皮細胞の表面に血小板が接着し、循環血小板数の低下を招く。活性化した白血球は、組織因子を発現したり、細胞内容物を放出したりすることにより、血液凝固反応の引き金を引く。血管内皮細胞の表面では、抗凝固分子の発現が低下し、血液凝固反応に対するブレーキが弱まる。さらに、血管内皮細胞表面で生じる線溶反応は、PAI-1の上昇によって鈍化する。このように、敗血症の際には、生体の応答が血栓形成を助長する方向にシフトする。このような血栓形成は、生体防御反応なのだろうか、それとも、システムの誤作動・副反応・過剰反応なのだろうか。
近年、敗血症の動物モデルにおいて、血液凝固反応をシャットダウンすると微生物の拡散が助長されてしまう可能性が報告されている。また、微生物が血栓を溶解することによって拡散していくことも報告されている。このようなことから、血栓形成には微生物を局所に封じ込める意義があると考えられ、immunothrombosis(免疫血栓)という概念で注目されるようになった。
では、敗血症の際の抗凝固療法は、どうあるべきだろうか?血栓形成は感染防御に寄与していたとしても、宿主にとって虚血性臓器障害を引き起こす要因ともなる。そのメリットとデメリットのバランスのもとに、抗凝固療法の適応を考慮する必要があると考えられる。抗凝固療法の開始基準について、明確な線引きをするためのエビデンスは整っていないが、臓器障害の徴候を考慮することが重要かもしれない。
近年、敗血症の動物モデルにおいて、血液凝固反応をシャットダウンすると微生物の拡散が助長されてしまう可能性が報告されている。また、微生物が血栓を溶解することによって拡散していくことも報告されている。このようなことから、血栓形成には微生物を局所に封じ込める意義があると考えられ、immunothrombosis(免疫血栓)という概念で注目されるようになった。
では、敗血症の際の抗凝固療法は、どうあるべきだろうか?血栓形成は感染防御に寄与していたとしても、宿主にとって虚血性臓器障害を引き起こす要因ともなる。そのメリットとデメリットのバランスのもとに、抗凝固療法の適応を考慮する必要があると考えられる。抗凝固療法の開始基準について、明確な線引きをするためのエビデンスは整っていないが、臓器障害の徴候を考慮することが重要かもしれない。