[LS8] 集中治療領域における急性腎障害マーカーL-FABPの有用性と課題
急性腎障害は集中治療領域のみならず一般診療において日々遭遇する疾患、病態である。最近では高齢化の進行に伴い、幅広い年齢層の患者が急性腎障害に罹患しているのが現状である。特に集中治療領域における急性腎障害は、その後の生命予後に関わり得る可能性がある。すなわち敗血症や循環器系、呼吸系疾患に伴い多臓器不全を生じた場合に、腎不全に対して腎代替療法を行うことがあるが、これによって生命予後が改善するとは言い難い現実がある。しかし腎代替療法をより早い時期に適切な方法で行うことによって、腎不全を早々に回復させ循環動態の改善につながることも経験する。
腎代替療法の早期開始、あるいは代替療法を実施しないまでも腎障害を早期に発見することは非常に重要であるが、既存の検査である血清クレアチニン値や 尿量を指標とした方法では治療介入が遅れる可能性がある。一方で、腎機能低下に先行して生じているであろう腎障害を反映し得るマーカーの存在が期待されるが、どのマーカーが鋭敏なのかについては、統一された見解はまだないと思われる。具体的には早期腎障害である尿細管障害を把握し得る新規腎バイオマーカーが数種類あり、多くの報告や発表が行われているが、われわれが注目しているのは尿中L-FABP(L-type fatty acid binding protein)である。
本セミナーでは、尿中L-FABPについての概要を説明させて頂き、市中病院らしく臨床症例を通してその有用性や課題について講演を行わせて頂きたい。まず糖尿病腎症に対する使用経験、特に尿細管間質傷害を評価する意義やLDL吸着療法における評価に尿L-FABPを用いた経験についてお話させて頂く。次いで集中治療領域における尿L-FABPの有用性について、敗血症性ショック(急性肺炎、消化管穿孔に伴う腹膜炎)や間質性肺炎による呼吸不全、重症急性膵炎、急性心不全などの症例から、CHDF(持続的血液濾過透析)やPMX-DHP療法の開始あるいは評価の実際を解説させて頂きたい。
腎代替療法の早期開始、あるいは代替療法を実施しないまでも腎障害を早期に発見することは非常に重要であるが、既存の検査である血清クレアチニン値や 尿量を指標とした方法では治療介入が遅れる可能性がある。一方で、腎機能低下に先行して生じているであろう腎障害を反映し得るマーカーの存在が期待されるが、どのマーカーが鋭敏なのかについては、統一された見解はまだないと思われる。具体的には早期腎障害である尿細管障害を把握し得る新規腎バイオマーカーが数種類あり、多くの報告や発表が行われているが、われわれが注目しているのは尿中L-FABP(L-type fatty acid binding protein)である。
本セミナーでは、尿中L-FABPについての概要を説明させて頂き、市中病院らしく臨床症例を通してその有用性や課題について講演を行わせて頂きたい。まず糖尿病腎症に対する使用経験、特に尿細管間質傷害を評価する意義やLDL吸着療法における評価に尿L-FABPを用いた経験についてお話させて頂く。次いで集中治療領域における尿L-FABPの有用性について、敗血症性ショック(急性肺炎、消化管穿孔に伴う腹膜炎)や間質性肺炎による呼吸不全、重症急性膵炎、急性心不全などの症例から、CHDF(持続的血液濾過透析)やPMX-DHP療法の開始あるいは評価の実際を解説させて頂きたい。