[NS1-3] 気管挿管患者の口腔ケア実践ガイドを活用して目指すところ
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人工呼吸器関連肺炎(Ventilator-Associated Pneumonia: VAP)は、クリティカルケア領域において重大な感染症の一つである。海外では、0.12%~0.2%のグルコン酸ヘキシジンを用いた口腔ケアのVAP予防の有効性が示され、グルコン酸ヘキシジンを用いた口腔ケアは、VAP予防バンドルアプローチの一つに位置づけられている。しかし日本では、0.12%~0.2%のグルコン酸ヘキシジンを口腔粘膜に使用することは薬事法で禁止されており、2010年に日本集中治療医学会から出されたVAPバンドルにも口腔ケアは含まれていない。日本では、VAP予防を主目的とした気管挿管患者の口腔ケアの手順は標準化されたものがなく、各病院や施設による独自の方法で口腔ケアを実施している現状がある。このような状況から、日本集中治療医学会看護ガイドライン検討委員会では、日本クリティカルケア看護学会口腔ケア委員会との合同で、「気管挿管患者の口腔ケア実践ガイド」の策定を進めてきた。2017年には「気管挿管患者の口腔ケア実践ガイド(案)」のパブリックコメントを募集し検討を重ねている。実践ガイドで提示した根拠は、エビデンスレベルの高いものもあれば低いものもあり、絶対的根拠を示したものではない。また、効果を裏付ける文献が無く根拠が未確定のものもある。しかしながら、気管挿管患者の口腔ケアの標準化は急務である。まずは、本実践ガイドを各施設で活用し、標準化した口腔ケアを多施設で実践することで、現在明確になっていない根拠を明らかにし、口腔ケア実践ガイドを確立していきたいと考えている。口腔ケア実践ガイドの活用に向けて、会場の皆さまとディスカッションを進めたい。