[O1-4] 敗血症患者における人工呼吸器離脱プロトコールの有用性の検討:傾向スコアマッチング解析
[背景及び目的]敗血症患者における人工呼吸離脱プロトコールの有用性は明らかでない。当院では人工呼吸患者において2016年からSpontaneous awakening trial (SAT)プロトコールを導入し、2017年からSATにSpontaneous breathing trial (SBT)を併用した人工呼吸器離脱プロトコールを開始した。敗血症におけるSBTの有用性を調べるために SBT導入前後の比較検討を行った。[方法]本研究はSBTプロトコール導入前後を評価する前向きコホート研究である。2016年4月から12月までSATプロトコールのみを使用し、看護師の教育後2017年4月以降はSAT及びSBTプロトコールの使用を開始した。対象患者は24時間以上の人工呼吸管理を要した敗血症患者とし、除外基準は鎮静剤非投与及び連日の創部処置が必要な症例とした。主評価項目をventilator-free dayとし、副評価項目を院内死亡率、ICU在室日数、在院日数、再挿管率として比較した。統計解析は患者背景因子として年齢、性別、APATCHE IIスコアを用いて傾向スコアマッチングを行い、連続変数にはMann-Whitney検定、カテゴリー変数にはFisher’s exact検定を使用した。[結果] 2016年4月から12月までSBT導入前の敗血症患者15例(non-SBT群)、2017年4月から2018年2月までのSBT導入後の敗血症患者23例(SBT群)が対象となり、傾向スコアマッチングで各群13例がマッチした。Ventilator-free dayはSBT群で有意に長く(中央値、23日 vs. 26日、p = 0.008;non-SBT vs. SBT)、ICU在室日数及び在院日数はSBT群で有意に短かった(ICU在室日数:中央値、6日 vs. 3日、p = 0.01;在院日数、中央値、19日 vs. 12日、p = 0.048)が、院内死亡率及び再挿管率は両群間で有意差を認めなかった。[結語]敗血症患者においてSBTを用いた人工呼吸器離脱プロトコールは有用と考えられる。