[O1-5] DPCデータベースを用いた人工呼吸器使用中の敗血症患者に対するデクスメデトミジンの効果の検討
【背景】デクスメデトミジンは他剤に比べて作用機序の異なる鎮静薬である。基礎研究では、本剤による免疫能の改善が示唆されている。しかし、敗血症患者に対するデクスメデトミジンの効果は臨床的に明らかにはなっていない。本研究はDPCデータベースを用いて、人工呼吸器使用中の敗血症患者に対するデクスメデトミジンの効果を比較した。【方法】厚生労働科学研究DPC研究班データベースを用いて、2010年7月1日から2016年3月31日の期間に人工呼吸器と抗菌薬を入院2日以内に使用開始し、人工呼吸器を3日間以上継続使用した感染症の病名がついた15歳以上の患者を対象とした。デクスメデトミジンを入院2日以内に使用開始した群(デクスメデトミジン群)とミダゾラムかプロポフォールを使用した群(対照群)をロジスティック回帰、1:1傾向スコアマッチング、操作変数法を用いて在院死亡率を比較した。操作変数として、施設のデクスメデトミジンの選好率を用いた。【結果】対象となった32365人のうち、8203名がデクスメデトミジン群、24162名が対照群に振り分けられた。傾向スコアマッチングでは7292組を作成した。ロジスティック回帰(オッズ比(OR), 0.86; 95%信頼区間(CI), 0.81-0.92)、傾向スコアマッチング(OR, 0.92; 95% CI, 0.86-0.99)、操作変数法(OR, 0.82; 95% CI, 0.70-0.96)のいずれもデクスメデトミジン使用と在院死亡率減少が有意な関連を認めた。【結論】人工呼吸器使用中の敗血症患者に対するデクスメデトミジンは他の鎮静薬と比較して死亡率を改善することが示唆された。