第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

補助循環 症例

[O100] 一般演題・口演100
補助循環 症例04

2019年3月2日(土) 17:50 〜 18:30 第12会場 (国立京都国際会館5F Room 510)

座長:杉田 学(順天堂大学医学部附属練馬病院救急・集中治療科)

[O100-4] 補助循環用ポンプカテーテルIMPELLA2.5にVA-ECMOを併用した1症例

芹澤 俊亮, 藤浦 拓也, 清水 弘太, 橋詰 英明, 石川 隆志 (藤田医科大学病院 ME管理室)

【背景】本邦にて2017年9月よりABIOMED社製補助循環用ポンプカテーテルIMPELLA2.5、IMPELLA5.0が保険収載された。当院でも2018年6月にIMPELLA2.5の1例目を導入した。【目的】今回、1例目の症例に対して、導入後に酸素化不良のためVA-ECMOを追加したのでその経験を報告する。【臨床経過】70歳代男性、身長170cm、体重63.8kg、BSA1.74m2。自宅にて倒れているところを発見され当院に救急搬送後、急性心筋梗塞と診断された。CCU入室後NPPV管理の方針としたが、心原性ショックと肺うっ血に伴う酸素化不良のため挿管管理下にIMPELLA2.5導入後、緊急PCIの方針となった。導入後はP8(2.4L/ml)の設定にて循環動態が安定し、カテコラミンの減量が可能であった。IMPELLA補助下で責任病変であった#5、#6に対してPCIを施行しCCU帰室となった。帰室後、IMPELLA流量は2.4L/minと良好であったが血圧維持は困難となり、酸素化不良も継続していたため呼吸循環補助目的にVA-ECMOを2.8L/minで開始した。その後IMPELLAのサクションアラームが発生したため経胸壁心エコーにてIMPELLAの留置位置確認と左室内容量を評価し輸液量の調節を行った。また大動脈弁の開放が認められなかったため、心内血栓の予防と左室減圧を目的にIMPELLA補助レベルをP4~P6(1.0~2.0L/min)で管理した。VA-ECMOは全身の呼吸循環補助を目的に流量2.0~2.5L/minで管理した。酸素化改善により第5病日VA-ECMO離脱、心機能の回復により第8病日IMPELLA離脱となった。【結論】IMPELLA導入の時点で酸素化不良があり、最初からVA-ECMOを導入する選択肢もあった。今後はIMPELLA2.5、IMPELLA5.0の選択ならびに補助循環法の選択基準の検討が必要であると考える。本症例では2種類の補助循環法を併用することでVA-ECMOによる全身の呼吸循環補助、IMPELLAによる左室減圧、心内血栓予防、肺うっ血軽減の効果が期待でき、心機能回復および酸素化改善に有用であったと考える。今回当院でのIMPELLA初症例であったが、事前に行ったメーカー主催の勉強会や多職種合同シミュレーションによりトラブルなく迅速な導入が可能であった。