第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

中枢神経

[O101] 一般演題・口演101
中枢神経03

Sat. Mar 2, 2019 8:45 AM - 9:25 AM 第13会場 (国立京都国際会館1F Room F)

座長:藤田 智(旭川医科大学救急医学講座)

[O101-2] 一酸化炭素中毒後遅発性脳症におけるマイクログリアの貪食能および神経栄養因子産生の変化

西原 佑1, 関谷 慶介1, 阿部 尚紀1, 小西 周1, 南立 秀幸2, 池宗 啓蔵2, 高崎 康史1, 土手 健太郎2, 萬家 俊博1 (1.愛媛大学大学院医学系研究科 麻酔・周術期学講座, 2.愛媛大学医学部附属病院 集中治療部)

【緒言】一酸化炭素(CO)中毒は時に遅発性の神経障害を呈する。CO中毒では脳内におけるマイクログリア(MG)の活性化が認められ、神経障害の原因としてMG機能との関連が示唆されている。【目的】CO中毒におけるMGの機能と遅発性神経障害との関連を検討する。【方法】8週齢の雄性Wisterラットを使用。Air群(control)とCO群の2群に分け、Air群は空気を60分、CO群はCO濃度1000ppmを40分、次いで3000ppmを20分吸入させた。受動的回避行動実験により、神経障害の発症の有無を3週間確認した。7日目、21日目に海馬を摘出し、RT-PCR、Western Blotting(WB)、Immunohistochemistry(IHC)、フローサイトメトリー(FCM)などの実験手技を用い、MGの機能や形態を解析した。【結果】行動実験でCO群にのみ神経障害が発症することを確認した(n=10)。7および21日後の海馬においてCO群にのみ脱髄が認められた。この時、MGのマーカーであるCD11bおよび貪食マーカーであるCD68のmRNA発現がCO群で有意に減少しており(CD11b: Air群0.9862, CO群0.636, p<0.01, CD68: Air群1.206, CO群0.6544, p<0.001)(7日, n=5)、WBでもこれらのタンパク発現はCO群で有意に減少した(CD11b: Air群1, CO群0.2024, p<0.001, CD68: Air群1, CO群0.4123, p<0.001)(7日, n=4)。7日後のIHCではCO群におけるMGは減少し、樹状突起が崩壊していた。FCMでも同様にMGが優位に減少していた(Air群12.21%, CO群4.48%, p<0.01)(7日, n=5)。また、7日後および21日後において、海馬組織における神経栄養因子のmRNA発現がCO暴露により有意に減少した(IGF1: Air群1.086, CO群0.6533, p<0.01, IGF2: Air群0.9309, CO群0.4335, p<0.01, HGF: Air群1.022, CO群0.6979, p<0.01)(7日, n=5)。【結論】MGはCO暴露により傷害され、貪食能、神経栄養因子産生能が損なわれる。このことが遅発性神経障害を発症する原因の一つである可能性が示唆された。