[O101-4] 脳神経外科疾患における長期挿管患者の肺炎防止にユニバーサル型バイトブロックと口腔内ケアーは有効か?
【背景】脳神経外科では意識障害などから長期の挿管となる傾向があり、人工呼吸器関連肺炎(VAP)の発生率は高い。VAP発生予防のバンドルの一環として口腔内ケアーの重要性が強調されている。【目的】ユニバーサル型のバイトブロックに変更し、口腔内ケアーをしやすくすることで肺炎発生率がどの程度変化するかを検討した。【方法】2015年1月から2018年8月までに脳神経外科に入院し、緊急で気管内挿管を要し、8日以上経口挿管が必要であった患者46名を対象とした。全例にユニバーサル型バイトブロックを使用し、1日以内に看護師による口腔内ケアーを実施した。また、25例では口腔外科による口腔ケアーを実施した。対象を3群に分けて後ろ向きに検討した。また、統計はP<0.05で有意差とした。A群:看護師のみによる口腔ケアー、B群:看護師による口腔ケアーと挿管後8日以降に口腔外科による口腔ケアー、C群:看護師による口腔ケアーと挿管後7日以内に口腔外科による口腔ケアーの3群間で、肺炎の発症率を検討した。【結果】A群21例、B群14例、C群11例であった。疾患の内訳は、脳血管障害(A1,B11,C5)外傷(A5,B2,C6)、その他(A1,B1,C0)であった。平均年齢は、A群67才、B群60才、C群69才であった。来院時のGCSの中央値は、A群5、B群6、C群6であった。いずれも各群で有意な差を認めなかった。挿管日数(人工呼吸器装着日数)は、A群11.8±4.4(7.9±6)日、B群1.8±4.4(7.9±6)日、C群1.8±4.4(7.9±6)日でそれぞれ有意差はなかった。肺炎の発症は、A群8例(38%)、B群10例(71%)、C群2例(18%)で、B群とC群で有意差を認めた。また、口腔内の潰瘍など合併症は軽度のものは5例あったが、大きな問題となるものはなかった。【結論】ユニバーサル型バイトブロックと口腔外科チームの早期介入した口腔内ケアーは長期挿管患者の肺炎のリスクを軽減する可能性がある。さらに症例数を増やした検討が今後必要である。