[O102-3] 非痙攣性てんかん重積を発症した外傷性脳損傷患者の特徴
【背景】非痙攣性てんかん重積(以下、NCSE:Nonconvulsive status epilepticus)は、ICU入室患者の8-20%に生じる。外傷性脳損傷患者でも20%前後に外傷後てんかんが発生し、約半分はNCSEとされる。NCSEの治療遅延は二次性脳損傷を引き起こす可能性があり、早期診断が求められる。一般に痙攣性てんかん重積の予後は発作時間の持続や原疾患の影響をうけるが、外傷性脳損傷患者のNCSEの予後に関して不明な点が多い。そこで、当院の症例を集積し、予後不良であった患者の特徴を調べた。【方法】研究デザイン:後ろ向き観察研究、対象期間:2013年1月から2018年7月まで、対象患者:TMGあさか医療センターに頭部外傷で入院し、持続脳波モニタリングでNCSEの診断となった患者。対象患者の診療録から年齢、性別、入院時GCS(Glasgow coma scale)、入院してから持続脳波モニタリング装着するまでの時間、退院時modified Rankin scale(mRS)などを後方視的に抽出し、臨床的特徴を記述した。【結果】期間内に頭部外傷で入院した患者数は706人であった。そのうち、持続脳波モニタリングが施行された患者は44人(6.2%)で,男性が28人(63.3%)だった。年齢の中央値は79(47-94)歳であった。そのうちNCSEが診断されたのは17人(2.4%)で、予後良好群(mRS:0-2)は4人、不良群(mRS:3-6)は13人であった。不良群のうち、3人(17.6%)は死亡退院となった。NCSEの診断となった患者の入院傷病名としては急性硬膜下血腫10人(58.8% ), 外傷性クモ膜下出血4人(23.5%), 脳挫傷2人(11.8%)、急性硬膜外血腫1人であった。入院時GCSの中央値は不良群で6 (4-14)、良好群で12 (11-15)であった。抗血小板・抗凝固薬内服は不良群では、8人(61.5%)で良好群は0人であった。また、入院から24時間以内に持続脳波モニタリングが装着された割合は、不良群で2人(15.4%)、良好群で3人(75.0%)であった。 【結論】NCSEを発症した患者の予後不良群は入院時GCSが低く、抗血小板・抗凝固薬の内服患者が多かった。また、予後不良群は入院後24時間以内に持続脳波モニタリングの実施率が低く、早期診断に影響を与えているかもしれない。