[O103-4] 開心術後脳梗塞の早期診断に対する3D-CTAの有効性
【背景】
開心術後の周術期脳梗塞は重篤な合併症の一つである。開心術後の特徴として、術後早期は鎮静剤や鎮痛剤の使用により神経学的所見が適切に評価できないことや複数のデバイスの使用によりMRI検査が困難なことが挙げられる。今回、開心術後に発症した脳梗塞の早期診断に3D-CTAが有効であった症例を経験したため報告する。
【臨床経過】
77歳男性。両側内頚動脈狭窄症、慢性腎臓病(CKDG3bA2)、高血圧症、高尿酸血症、COPDの既往歴がある。3枝病変(#3 75%, #4AV 99%, #6 90%, #9 99%, #11 90%, #13 90%, #15 75%)の労作性狭心症に対して心拍動下冠動脈バイパス術(LITA-LAD, SVG-#4PD, SVG-#14)を施行し、麻酔6時間11分、手術4時間35分で終了した。術後は鎮静下、挿管のままICUに入室となった。術後4時間後に覚醒を確認したが、左片麻痺(左上肢MMT1/5、左下肢MMT1/5)を認めたため脳梗塞を疑い、頭頸部CT及び3D-CTAを施行した。頭部単純CTでは右前頭葉と島皮質にearly CT sign(ASPECTSスコア6点)、また3D-CTAでは両側内頸動脈起始部から海綿静脈洞部C4までの完全途絶、右椎骨動脈は起始部から閉塞、右中大脳動脈M2分岐に閉塞を認めており、両側内頸動脈閉塞、右椎骨動脈閉塞、右中大脳動脈分岐閉塞による急性期脳梗塞と診断した。治療は脳神経外科と相談し、十分な家族への説明と同意を得た上で血栓回収療法を施行した。血栓回収療法後、頭部CTでは出血性梗塞を認めたが、経時的に麻痺症状は改善し左上肢MMT4/5、左上肢MMT4/5まで改善した。術後2日目に抜管、経過良好にて術後8日目にICUを退室した。
【結論】
開心術後脳梗塞は迅速かつ適切な診断を行う必要がある。本症例では頭頸部単純CTに加えて3D-CTAが診断に有効であった。開心術後脳梗塞に対する早期診断には単純CTだけでなく3D-CTAを撮影することで早期診断だけではなく、限られた時間の中で治療に役立つ可能性がある。
開心術後の周術期脳梗塞は重篤な合併症の一つである。開心術後の特徴として、術後早期は鎮静剤や鎮痛剤の使用により神経学的所見が適切に評価できないことや複数のデバイスの使用によりMRI検査が困難なことが挙げられる。今回、開心術後に発症した脳梗塞の早期診断に3D-CTAが有効であった症例を経験したため報告する。
【臨床経過】
77歳男性。両側内頚動脈狭窄症、慢性腎臓病(CKDG3bA2)、高血圧症、高尿酸血症、COPDの既往歴がある。3枝病変(#3 75%, #4AV 99%, #6 90%, #9 99%, #11 90%, #13 90%, #15 75%)の労作性狭心症に対して心拍動下冠動脈バイパス術(LITA-LAD, SVG-#4PD, SVG-#14)を施行し、麻酔6時間11分、手術4時間35分で終了した。術後は鎮静下、挿管のままICUに入室となった。術後4時間後に覚醒を確認したが、左片麻痺(左上肢MMT1/5、左下肢MMT1/5)を認めたため脳梗塞を疑い、頭頸部CT及び3D-CTAを施行した。頭部単純CTでは右前頭葉と島皮質にearly CT sign(ASPECTSスコア6点)、また3D-CTAでは両側内頸動脈起始部から海綿静脈洞部C4までの完全途絶、右椎骨動脈は起始部から閉塞、右中大脳動脈M2分岐に閉塞を認めており、両側内頸動脈閉塞、右椎骨動脈閉塞、右中大脳動脈分岐閉塞による急性期脳梗塞と診断した。治療は脳神経外科と相談し、十分な家族への説明と同意を得た上で血栓回収療法を施行した。血栓回収療法後、頭部CTでは出血性梗塞を認めたが、経時的に麻痺症状は改善し左上肢MMT4/5、左上肢MMT4/5まで改善した。術後2日目に抜管、経過良好にて術後8日目にICUを退室した。
【結論】
開心術後脳梗塞は迅速かつ適切な診断を行う必要がある。本症例では頭頸部単純CTに加えて3D-CTAが診断に有効であった。開心術後脳梗塞に対する早期診断には単純CTだけでなく3D-CTAを撮影することで早期診断だけではなく、限られた時間の中で治療に役立つ可能性がある。