第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

循環 研究

[O104] 一般演題・口演104
循環 研究05

2019年3月2日(土) 14:00 〜 14:40 第13会場 (国立京都国際会館1F Room F)

座長:時田 祐吉(日本医科大学付属病院循環器内科)

[O104-1] MICSにおける再膨張性肺水腫の発生率に関する後方視的研究

田村 高廣1, 伊藤 敏明2, 所 正佳2, 柳澤 淳次2, 開 正宏3, 横田 修一4, 西脇 公俊5 (1.名古屋大学医学部附属病院 麻酔科, 2.名古屋第一赤十字病院 心臓外科, 3.名古屋第一赤十字病院 医療技術部 臨床工学技術課, 4.名古屋第一赤十字病院 麻酔科, 5.名古屋大学医学部医学系研究科 麻酔蘇生医学講座)

背景:低侵襲心臓手術(MICS)は、右小開胸から心臓にアプローチする事で、輸血や縦隔炎の回避、術後早期回復・退院が可能な術式である。ところが、ひとたび合併症が起きると長期間の集中治療管理が必要になる場合もある。その合併症の一つに、再膨張性肺水腫(RPE)がある。しかしながら、RPEの発生頻度は、長期間の気胸や胸水ドレナージ症例などの報告症例が多く、MICSとしてのRPE発生例を報告した文献は少ない。本研究の目的は、651症例のMICS手術を後方向視的に解析し、RPE発生率および麻酔方法を検討するためである。方法:2011年1月~2018年1月にMICSを受けた患者を対象とし、電子カルテおよび麻酔記録から情報を抽出した。結果:RPEの発生率は0%であった。予防策として本邦の学会等で施行されていると報告されている下記の手段;ステロイドやシベレスタットの予防投与は、全症例で使用されていなかった。麻酔方法は統一されていなかったが、導入から静脈麻酔を使用した症例群と人工心肺時から静脈麻酔を使用した症例群はそれぞれ全体症例数の約50%程度、ブロンコキャス使用を使用した症例群とシングルチューブ+気管支ブロッカー使用を使用した症例群もそれぞれ全体症例数の約50%程度であった。また、全症例で軽度低体温としていた。 RPE発生例が無く発生関連因子の統計的検討はできないが、RPEに対して薬剤的な予防策は講じていなくとも発生率は0症例であった。MICSにおいて、RPEの予防策は軽度低体温と短い人工心肺時間であると我々は考察している。