第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

循環 研究

[O105] 一般演題・口演105
循環 研究06

Sat. Mar 2, 2019 2:40 PM - 3:40 PM 第13会場 (国立京都国際会館1F Room F)

座長:西山 友貴(鎌倉病院)

[O105-4] 経カテーテル的大動脈弁植え込み術後の集中治療室における管理とその必要性

関口 奈津子1, 樋口 亮介2, 高見澤 格2, 原口 剛3, 清水 淳4, 桃原 哲也2, 高山 守正2, 高梨 秀一郎5, 山下 美由紀1, 池亀 俊美1 (1.榊原記念病院 看護部, 2.榊原記念病院 循環器内科, 3.榊原記念病院 集中治療部, 4.榊原記念病院 麻酔科, 5.榊原記念病院 心臓血管外科)

【背景】心臓手術後は、集中治療室において数日から1週間程度術後管理が行われる。経カテーテル的大動脈弁植え込み術(TAVI)は大動脈弁狭窄症に対する低侵襲的治療として発展してきた。TAVI後も1、2日程度、集中治療室で管理されることが一般的である。一方で、TAVIは経験の蓄積やデバイスの進歩により短期予後が飛躍的に向上しており、さらなる低侵襲化、簡素化が必要とされている。しかしながら、TAVI後の集中治療管理の必要性、妥当性を検証した研究はほとんどない。
【目的】TAVI後の集中治療室における治療的介入の有無と種類を調査し、その予測因子を検討することを目的とした。
【方法】2017年4月から2018年3月の間に榊原記念病院でTAVIを行なった連続201例のうち、同時にCABGを行った3例、術中に主要合併症を発生した6例を除いた192例を後向きに解析した。TAVI後は集中治療室管理を行い、意識レベル、血行動態、創部に問題がなければ治療当日もしくは翌日に一般病棟に移動した。術前の患者背景因子、術中の手技的因子と集中治療室における治療的介入との関連性を検討し、その予測因子を求めた。
【結果】平均年齢は84.5歳、女性は142例 (74%)、手術リスクはEuroSCOREII 6.7%、STS score 6.4%であった。26例 (13.5%) で集中治療室滞在中に治療的介入 (薬物学的介入: 24例、手技的介入: 9例)を行った。介入群と非介入群との比較では、HDS-R20点以下 (46.2% vs. 17.5%、p=0.0009)、恒久的ペースメーカーの既往 (19.2% vs. 4.8%、p=0.019)、血清アルブミン値 (3.5±0.5 vs. 3.9±0.4 g/dl、p=0.0001)、左室駆出率 (52.9±13.5% vs. 60.5±9.1%、p=0.011)、EuroSCOREII (14.0±15.0% vs. 5.5±5.3%、p=0.0004)、緊急TAVI (26.9% vs. 1.8%、p<0.0001)、全身麻酔 (15.4% vs ±1.8%、p=0.007)で有意差を認めた。術後在院日数は介入群でより長かったが (11.8±8.6 vs. 8.6±10.6 日、p=0.004)、30日死亡は両群ともに認めなかった。多変量解析において、左室駆出率50%未満(オッズ比4.5, 95%信頼区間1.4-14.4)及び緊急TAVI(オッズ比15.8, 95%信頼区間1.3-192)が集中治療室における治療的介入の独立予測因子であった。
【結論】TAVI後の13.5%において集中治療室における治療的介入が必要であった。低心機能及び緊急TAVIがその予測因子であった。