第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

循環 研究

[O105] 一般演題・口演105
循環 研究06

Sat. Mar 2, 2019 2:40 PM - 3:40 PM 第13会場 (国立京都国際会館1F Room F)

座長:西山 友貴(鎌倉病院)

[O105-5] 超音波ガイド下での橈骨動脈ライン確保の安全性の検討

酒井 博崇1, 植西 憲逹2, 神宮司 成弘2, 寺澤 晃彦2, 岩田 充永2 (1.藤田医科大学 医療科学部, 2.藤田医科大学 医学部 救急総合内科)

【序論】橈骨動脈ライン(A-line)確保について、超音波ガイド下穿刺は、触診法に比べて成功率が高いことが報告されている。当院救命救急センターICUでは、全例超音波ガイド下でA-line確保をしており、診療看護師(NP)も同様にA-line確保を実施している。今回NPが行なったA-line確保の穿刺成功と関連する因子(成功予測因子)として穿刺前の触診評価と超音波による動脈評価について調査した。【目的】超音波ガイド下A-line確保について、成功予測因子と初回穿刺成功との関連性を調査し、安全性を検討する。【方法】調査期間:2017年7月1日-2018年8月31日。調査方法:当ICUでNPがA-lineを確保した症例について、患者背景、既往歴、収縮期血圧、施術者による動脈拍動の主観的3段階評価、超音波による動脈評価(表皮から血管上端までの深度および動脈径 [血管最大短径])、穿刺針のサイズ、初回穿刺の成否、確保の成否、合併症の9項目を後方視的に調査した。【結果】期間中140人にA-line確保を実施した。平均年齢は64.2歳(範囲:16-94歳)、男性82人(58%)であった。全140人における触診評価は、触知良好49人(35%)、触知不良54人(39%)、触知なし37人(26%)であった。動脈までの深度は平均3.4(SD:1.6)mm、動脈径は平均4.5(SD: 2.3)mmであった。成功までの穿刺回数は平均1.1回(範囲:1-4回)で、初回穿刺成功率は91%(95% CI: 85-96%)であった。最終的な確保不成功例はなく、複数回穿刺による軽微な出血以外に重篤な合併症はなかった。ロジスティック回帰分析では、触診評価(オッズ比[OR] = 0.23 [95% CI: 0.08-0.63]、p = 0.004)、動脈径(OR = 3.24 [95% CI: 1.01-10.42]、p = 0.049)が初回穿刺成功と統計学的に有意に関連していた。【考察】A-line確保の初回穿刺成功率について、Shiverらは医師による超音波ガイド下で87%と報告している。今回NPによる超音波ガイド下A-line確保でも同様の結果が得られ、安全性にも問題はなかった。今回の観察において超音波を使用した状況でも特定因子(触診なし等)がある場合は、確実な確保が難しい事が分かった。触診評価し、触知不良の場合は超音波ガイド下でのA-line確保を行う方が安全で確実な確保につながると考える。【結論】触診評価、動脈径が初回穿刺成功に有意に関連した。超音波ガイド下でのA-line確保は安全である。