[O107-4] Rapid Response System起動から現場到着までの時間に影響を及ぼす因子
【背景】入院患者の容態悪化を早期に認識・介入し有害事象を軽減することがRapid Response System (RRS)の主な目的である。RRS対応チーム(以下、チーム)介入の遅延と有害事象増多との関連は報告されているが、チームがコールを受けてから現場到着までの時間に影響を及ぼす因子についてはよくわかっていない。【目的】チームがコールを受けてから現場到着までの時間に影響を及ぼす因子を検討する。【方法】この後向きコホート研究はIn-Hospital Emergency Registry in Japan の登録患者データを用いて行った。研究期間は2010年6月から2018年1月である。登録患者のうち、起動に関する時間データがないものと、コール内容が心肺停止であるものを除外した。チームがコールを受けてから現場到着までの時間と関連する因子を、重回帰分析を用いて検討した。【結果】34施設4492患者が解析対象となった。女性が41%、年齢の中央値は72歳、病床数は15%が1000床以上、66%が500-999床、19%が499床以下の病院であった。また、69%は一般病棟からの起動要請、84%は医師が一名以上含まれるチーム形態(MET)に対応を受けた。チームがコールを受けてから現場到着までの中央値は5分 (四分位範囲 2-7分)であった。重回帰分析の結果、コールを受けてから現場到着までの時間が遅れる有意な因子(カッコ内は回帰係数推定値と95%信頼区間)は、一般病棟からの要請(46%[41%, 52%])、病床数(19% [14%, 23%])、コール内容が「患者に対する懸念」(16% [6%, 26%])であった。時間が早まる因子は、コール内容が「痙攣」(-39% [-54%, -25%])、「徐呼吸」(-20% [-35%, -5%])、チーム形態がMET(-11% [-18%, -3%])であった。【結論】チーム形態がMETであることは現場到着が早まることと関連を認め、一般病棟からの要請と病院の病床数は現場到着が遅れることと関連を認めた。