第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

RRS

[O107] 一般演題・口演107
RRS01

Sat. Mar 2, 2019 4:30 PM - 5:30 PM 第13会場 (国立京都国際会館1F Room F)

座長:蕪木 友則(武蔵野赤十字病院 救命救急科)

[O107-6] MET活動時のチャットアプリケーションを用いた迅速かつ正確な情報伝達システムの確立

加藤 千博1, 栗田 健郎2, 安部 隆三2, 中田 孝明2, 平間 陽子1, 上野 博章1, 山田 香織1, 宮崎 瑛里子3, 竹内 純子1, 織田 成人2,3 (1.千葉大学医学部付属病院 看護部 ICU/CCU, 2.千葉大学大学院医学研究院 救急集中治療医学, 3.千葉大学医学部付属病院 臨床工学センター)

【背景】
院内急変に対するRapid response systemとして, 当院では2012年にMedical emergency team (MET)を発足させた. さらに2014年にMETワーキンググループを立ち上げ, 迅速かつ機能的なMETシステムの構築を進めてきた. METの運用において, METの起動情報や要請内容を短時間でメンバー全体に周知することは, 迅速な治療介入のために重要である. またMET先着隊による患者の初期評価結果を迅速に共有することは, 応援の派遣や初期診療後収容セクションの準備などに有用である. 当院ではこれらの情報共有をより円滑にするために, 2017年よりチャットアプリケーションを用いたシステムを導入した.
【目的】
MET活動時のチャットアプリケーションを用いた情報伝達システムの効果を明らかにすることを目的とした.
【方法】
救急科・集中治療部医師各自が携帯する端末とICUリーダーナース用タブレット端末でチャットアプリケーションを使用できる体制を整えた上で,まずMET起動に関する情報を共有できた人数をチャットアプリケーション使用の有無で比較した. 次に,MET先着隊からの患者初期評価情報を「1. 患者の状態, 2. 応援の必要性, 3. 初期診療後の収容先, 4. 治療・検査介入の方針」の4項目に分類し, そのうち何項目共有できたかを、院内電話のみで情報交換を行っていたチャットアプリケーション導入前3ヶ月(2016年12月から2017年2月)と, チャットアプリケーションを用いた情報伝達システム確立後の3ヶ月(2018年6月から8月)で比較した.
【結果】
チャットアプリケーションの使用により、MET起動の情報を共有できた人数が有意に増加した(使用有vs無 : 7.8±3.0人vs 4.7±2.4人, p=0.002). MET先着隊による患者初期評価情報は, MET要請から平均8.2分後に, チャットアプリケーションを用いて発信されていた. チャットアプリケーション導入前に比べ, システム確立後には,有意に多くの情報を共有することができた(システム確立後vs導入前 : 2.9±0.6項目vs 2.3±0.7項目, p=0.0062).
【結論】
MET活動時のチャットアプリケーションを用いた情報伝達システムにより, 短い時間でより多くのメンバー間でより多くの情報を共有することが可能となった.