第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

患者管理

[O108] 一般演題・口演108
患者管理01

2019年3月2日(土) 08:45 〜 09:45 第14会場 (国立京都国際会館1F Room G)

座長:齊藤 洋司(島根大学医学部麻酔科学)

[O108-2] ECMO管理を要した患者のPICS対策

佐久田 豊, 長間 将樹, 山内 昌喜, 伊良波 禎, 金城 紀代彦, 城間 政尚, 與那覇 孝幸, 佐久川 慶 (沖縄協同病院 集中治療科)

【背景】 重症症例は予後が悪く,APACHEII Scoreの高い症例ほど死亡率が高い(Crit Care Med 1985;13:818-829).行うべき治療方法の選択と,基本的なケアのあり方が予後やpost-intensive care syndrome(PICS)の発生を左右している可能性がある.PICSはICU 退室後に生じる運動機能・認知機能・精神の障害であり,その全てを評価が出来るものでは無いが, 退院時のCerebral Performance Categories(CPC)でその一部が評価できる.【目的】当院ではECMO管理を要する重症患者家族の面会時間をフリーにしている.普段から平易で分かりやすい言葉を選び書面に書いて疾患や治療選択,治療のメリットデメリットを説明して治療方法の選択も家族に考えてもらうようにしている.また患者はできるだけ,浅い鎮静にして鎮痛管理をしっかり行い,早期リハビリテーションを行い,意欲があれば全例TVを視聴させる等して日常環境に近い状態となるように工夫している.当院のECMO管理を要した患者のPICSの状態を評価した.【方法】2015年1月から2018年7月までにECMO管理を要した症例を後方視的に評価した.ECMO使用の35症例(内訳はV-A ECMO単独は30例,V-V ECMO単独は5例,V-A/V-V ECMO併用は3例).評価項目をカルテ参照し抽出.それぞれの項目をCPC1-2とCPC3-5の2群間で比較を行った.【結果】CPC1-2となった男女数,年齢(mean/SD), APACHII score(mean/SD)とCPC3-5となった各項目はそれぞれ, 7人:3人, 52.0歳(±20.4), 27.2(±6.1)と18人:7人, 59.8歳(±19.2), 28.8 (±10.1)であり有意差が無かった.10人の内一人は精神科入院.一人はLVAD:left ventricular assist device装着にて入院継続.1人はリハビリ病院入院中.7人は通院中,認知面の評価が必要と考えられ長谷川式簡易知能評価スケールを実施したのは2名であった.【考察】ICU入室時の重症度と予後に相関は無かった.当院では全例 ICU退出後の経過を追っていて,ICU主治医と一般病棟移動後担当医師がディスカッションしている.PICS悪化防止予後改善のために今後も必要な診療スタイルであると考えた(Crit Care Med 2012;40:502-9.).