第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

患者管理

[O108] 一般演題・口演108
患者管理01

2019年3月2日(土) 08:45 〜 09:45 第14会場 (国立京都国際会館1F Room G)

座長:齊藤 洋司(島根大学医学部麻酔科学)

[O108-5] 救命救急センター指定前後におけるICU入室患者の変化

村橋 一1, 安藤 雅樹1, 横地 佑磨2, 野木村 茜2, 田村 美穂子2, 山村 薫平2, 森島 徹朗2, 稲垣 雅昭2, 伊藤 彰師2 (1.名古屋市立東部医療センター 救急科, 2.名古屋市立東部医療センター 麻酔・集中治療科)

【背景】救命救急センターは内因外因問わず、重症患者に対して高度な救急医療を24時間体制で提供することが求められている。当院は病床数498床(ICU6床)、年間救急搬送件数7700件余りの救急医療機関であり、2018年2月に救命救急センター指定を受けた。【目的】救命救急センター指定前後においてICU管理を要する救急患者の傾向や重症度の変化について調査する。【方法】対象期間は、救命救急センター指定に伴う診療体制が整った2018年5月~7月 (2018年群) とし、2017年の同期間 (2017年群) と比較した。データベースより当院へ救急搬送されICU入室となった患者を抽出し、後方視的に検討した。評価項目としては、年齢・性別・疾患名・緊急手術後入室件数・入室時APACHE 2スコア・入室時SOFAスコア・ISS (多発外傷症例) とした。2群間の検定はFisherの正確検定とMann-Whitney U検定を用いて行い、P<0.05を有意差とした。【結果】対象期間中の救急車搬入件数は2017年群:1862件 (男性:49.3%、中央値年齢:70歳) vs 2018年群:1988件 (男性:47.1%、中央値年齢:71歳) で、その内ICU入室となったのは2017年群:21件 (男性:57.1%、中央値年齢:77歳、多発外傷:3件) vs 2018年群:43件 (男性:62.8%、中央値年齢:69歳、多発外傷:9件) であった。また、緊急手術の術後にICU管理を要した患者は2017年群:6件 (心臓血管外科:3件、外科:2件、整形外科:1件) vs 2018年群:18件 (心臓血管外科:7件、外科3件、整形外科:4件、脳神経外科:3件、泌尿器科:1件) であった。2群間で比較すると、救急車搬入患者のICU入室率は2017年群:1.1% vs 2018年群:2.1%;P<0.05 、 ICU入室時APACHE 2スコアは2017年群:26 [16-30] vs 2018年群:21 [18.5-26.5];P=0.18 、ICU入室時SOFAスコアは2017年群:7 [6-8] vs 2018年群:6 [4-8];P=0.28 、ISS は2017年群:34 [25.5-34] vs 2018年群:22 [20-38];P=1.0 であった。【結論】救命救急センター指定に伴い、多発外傷や緊急手術後症例の件数が増加したことによりICU入室率が有意差をもって増加した。このような変化に対応すべくICUを含めた救命救急センター運営管理が必要となる。