[O109-1] A病院ICUにおける看護行為量観察法からみたPNS導入後の運用の実態と課題
【背景】集中治療室(以下、ICU)の看護師は、高度な知識、技術が必要であり、安全で質の高い看護ケアが求められる。そのため、ペアで相互補完し合う看護体制であるPNSへ変更後の運用の実態と課題を明らかにする必要がある。【目的】ICUの看護業務のうち日勤帯のPNSの運用状況の実態とPNSの運用上の課題を検討することを目的とした。【方法】対象をICU看護師とした。日本看護協会の業務区分表を参考に、ICU関連看護行為48項目を分類し、調査票を作成。調査は、業務時間内の業務内容に要した累計時間を5分単位で記入し、看護行為を直接・間接看護行為の2種類に分類し、累積時間を算出した。直接・間接看護行為とPNSの運用状況とをt検定、Pearsonの相関係数を算出した(IBM SPSS Statistics Version 24)。倫理的配慮として対象者には、調査協力の任意性、協力同意後の撤回の自由、個人情報の守秘、質問への対応、結果の公表等について説明し、同意を得た。【結果】期間中の午前の直接看護行為においては、ペアでの時間が54.6±29.9分に対して、ペア以外での実施時間82.8±34.3分で有意にペア以外の時間が長かった(p<0.001)。間接看護行為においては、ペアでの時間とペア以外での実施時で差がなかった。午後の直接看護行為においては、ペアでの時間が31.7±27.9分に対して、ペア以外での実施時間136.8±46.0分で有意にペア以外の時間が長かった(p<0.001)。間接看護行為においても同様に、ペアでの時間が11.0±16.5分に対して、ペア以外での実施時間83.0±39.4分で有意にペア以外の時間が長かった(p<0.001)。ペアでの計画修正は、午前に修正している回数が多い看護師は、午後の回数が有意に多かった(r= 0.50、P<0.001)。更に、午前、午後にペアで計画修正している回数が多い看護師は、午後に間接ケアを二人で行っている時間が多かった。カンファレンスに参加した看護師は、しなかった看護師に比べ午後のペアでの直接看護行為時間、間接看護行為時間ともに有意に長かった。【結論】ICUの看護行為時間は、ペア以外での時間が長かった。医療安全上のリスク予防のためにペアでの実施時間を増やし、安全で確実な看護を提供していく必要がある。ペアでのケア計画の確認修正やカンファレンスよりペアでの看護実践時間が長くなることから、これらの機会を活かし、パートナーでの相互協力と補完の意識を更に高めていく必要があることが示唆された。