第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

呼吸 症例

[O11] 一般演題・口演11
呼吸 症例04

Fri. Mar 1, 2019 2:50 PM - 3:50 PM 第7会場 (国立京都国際会館1F Room E)

座長:今中 秀光(宝塚市立病院ICU)

[O11-3] 進行性の高CO2血症に対し特発性肺胞低換気と診断され、挿管管理、気管切開を要した一例

岩本 創哉, 小柴 真一 (静岡済生会総合病院)

 今回我々は、特発性肺胞低換気と診断された原因不明の高CO2血症に対し、人工呼吸器管理の後に、気管切開を実施し退院に至った一例を経験したため報告する。 症例はADL自立の84歳女性。基礎疾患として睡眠時無呼吸症候群(AHI 31.4, 最長無呼吸23秒)と慢性的な高CO2血症を指摘されており神経内科にて精査中であった。JCS300の意識障害として当院救急救命センターに搬送され、血液ガス検査(FM10L/min)でpH 7.075, PO2 72.0, PCO2 125 mmHg, HCO3 36.6と高度の呼吸性アシドーシスとCO2貯留を認めた。CT上肺所見は正常であり、諸検査で他に異常を指摘されず、気管挿管にて人工呼吸器に接続したところ著明な意識レベル改善を認めたため、神経筋疾患による低換気を疑われ、当院神経内科に精査加療目的に入院となった。 入院後、意識レベルの改善と自発呼吸の出現を確認したためNPPV導入を試みたが、病勢をコントロールできず再挿管に至るというエピソードが繰り返された。そのため長期気管挿管を余儀なくされ、気管切開の適応と考えられた。呼吸機能検査では拘束性換気障害を認めたが、針筋電図検査では特記すべき異常は指摘されなかった。採血上抗核抗体などが陽性となったが、病態を説明する結果とはいえず、特発性肺胞低換気と考えられた。気管切開後は夜間のみ人工呼吸器につなぎ、日中は自発呼吸で過ごすことでCO2の再貯留なくコントロールされ、経過良好にて退院となった。 鑑別、治療に難渋した本症例の治療経験を報告すると共に、神経、呼吸生理学に基づいた病態生理の解析、文献的考察を加えて本症例を再考する。