[O11-4] Low Flow P-V curveによる換気設定変更が高度無気肺を改善した1例
【背景】当ICUの人工呼吸ではLow Flow P-V Curveを参考にした換気条件設定が多いが、時折Pmciよりも高圧域で気道内圧低下と換気量増加の形状を呈することがある(図1)。これらは高圧による無気肺開通の存在が示されていると考えておりOpen lungのため換気設定を再考する。今回脳血管障害発症時の誤嚥が原因で重篤な無気肺が生じたと推測された症例に対し、前出特性より換気設定を見直して無気肺および酸素化の改善を得た症例の肺伸展状況をElectro Impedance Tomography(EIT)で計測したので報告する。【臨床経過】77歳女性、居室内仰臥位泡吹状態で発見され、脳出血の診断後、血腫除去、外減圧術を行いICU入室となった。当初の換気設定PC-BIPAP、Pi=23、PEEP=8でのP/Fは198であった。第2病日Low Flow P-V Curveの28cm水柱圧位に再現性のある前出特性を確認したためPh=30、Pl=0、Th=9.5、Tl=0.5、のAPRVへ変更。第3病日のP/Fは396と改善し、CT上背側無気肺の改善を確認した(図2)。【結論】脳血管障害疾患に対し高圧での肺胞再開通は脳循環を悪化させないことは過去に報告されており、本症例においても換気設定変更後のICPに影響はなかった。また発症時の誤嚥が原因と推測される重篤な無気肺による肺毛細管血管攣縮やBio traumaが懸念されたが比較的短時間で無気肺の改善が得られた。人工呼吸時のLow Flow P-V Curveは換気設定を考慮する際の情報源として役立つと考えられ、EIT計測においても換気状態改善が示された。(図3)