第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

教育

[O111] 一般演題・口演111
教育01

2019年3月2日(土) 08:45 〜 09:35 第20会場 (グランドプリンスホテル京都B2F ゴールドルーム)

座長:小寺 利美(滋賀医科大学医学部附属病院看護部 看護部管理室)

[O111-6] 迷わず行動できる災害対策マニュアルとアクションカードの実用性の検証と課題の抽出

立石 純子, 佐藤 めぐみ, 松岡 智絵, 萩原 由美 (産業医科大学病院 集中治療部)

1. 背景 集中治療室(以下ICU)は災害が発生した際、患者の安全確保や避難経路の確保、避難準備、被災者の受け入れ準備が必要となる。A病院ICUでは、災害対策マニュアル(以下マニュアル)とアクションカードは実在するが実用性は検証されていない。そのためICU看護師が迷わず行動できるマニュアルとアクションカードであるか検証が必要と考えた。2. 目的 A病院ICU看護師を対象に、マニュアルとアクションカードの実用性を検証し、課題を抽出する。3. 方法 研究デザイン:観察研究。対象:研究参加に同意が得られたICU看護師26名。調査方法:対象を5組に分け、災害を想定した机上シミュレーション(同一の事例設定)を各組に実施した。マニュアルは事前配布し、アクションカードは机上シミュレーション開始時に配布した。シミュレーション終了後、個人に対しアンケートを、各グループにはインタビューを実施し、マニュアルとアクションカードの課題を抽出した。分析方法:アンケート結果はカイ二乗検定、マンホイットニーU検定を用いて分析した。インタビュー内容は、意味内容の類似性に従いカテゴリー化した。4. 結果1)マニュアル配布前より「ICU災害対策マニュアルを知っている」と回答した人は21名/26名(80%)であった。マニュアルの認知度について経験年数で比較した結果、「知っている」と回答した人は、ICU経験4年目以上は8名/9名(89%)、4年目未満は13名/17名(76%)であり有意差が認められた。(P=0.002)2)アクションカードを「知っている」と回答した人は0名であった。「自信を持って迷わず行動できた」と回答した人は0名、「行動の指標となり、迷わず行動できた」と回答した人は1名/26名であった。3)インタビュー内容から【行動指標】【優先順位】など10のカテゴリーが抽出された。これらのカテゴリーのデータには「マニュアルとアクションカードの記載内容が異なる」「安全確保と報告の順番がおかしい」「安全の評価が具体的でない」などがあった。5. 結論マニュアルの認知度は全体で80%を超えていたが、アクションカードの認知度は低かった。マニュアルの認知度はICU経験年数によって差があることが明らかになった。現行のマニュアルとアクションカードの課題として、記載内容が統一されていないことや優先度の不明確さなどが抽出されたため、これらについて修正を行うとともに、認知度を高める啓発活動の必要性が示唆された。