第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

教育

[O113] 一般演題・口演113
教育03

Sat. Mar 2, 2019 10:15 AM - 11:05 AM 第20会場 (グランドプリンスホテル京都B2F ゴールドルーム)

座長:山内 英樹(国際医療福祉大学成田看護学部)

[O113-4] ICUにおける輸血教育の学習内容の検討

上野 愛歩, 牛島 久美子, 上杉 英之 (済生会熊本病院 集中治療室)

【目的】当院は年間2000件以上の輸血を実施する。その中でICUは、最も使用数が多い部署である。そのため、安全で確実な輸血を実施するための教育は重要課題である。今回、過去5年間の輸血関連インシデントの分析と、ICU看護師にテストとアンケートを実施し輸血に関する実態調査を行った。今後、輸血関連インシデントの減少を目的とし、輸血に関する知識と看護技術向上のための効率的な学習内容を検討したため報告する。【方法】当院の輸血実施状況と輸血関連インシデントを分析した。それらと厚生労働省の輸血療法に関する指針や、院内輸血マニュアルなどを元に、独自に輸血に関する知識や技術を問うテストとアンケートを実施した。A群(ICU経験年数4年目以下)とB群(ICU経験5年目以上)に分け二群間の比較を行った。【結果】院内の月別平均輸血使用数は、RBC:877単位、FFP:687単位、PC:469単位であった。2013~2017年度の輸血関連インシデントの報告件数は、総数108件であり、年間平均は18件であった。輸血関連インシデントは、「実施されたが患者への実害はなかったもの」50%、「仮に実施された場合身体への影響は大きいと考え得るもの」21.3%、「仮に実施されていても患者への影響は小さかったもの」16.7%、「処置や治療は行わなかったもの」10.2%、「簡単な処置や治療を要したもの」1.9%であった。関連職種は医師10%、看護師62.1%、検査技師24.3%、臨床工学技士2.9%、医療秘書0.7%であった。内容は、「実施入力漏れ」、次いで「投与量に関するもの」、「取り扱い手順に関するもの」、「破損」の順に多く、総数の約80%を占めた。ICUにおける輸血関連インシデントの報告件数は、総数の13.9%であった。内容は「実施入力漏れ」、「破損」、「保管」の順に多く、上位4つで92%を占めた。テスト・アンケートは有効回答51名でA群21名、B群30名であった。合計点の平均に二群間で有意差はなかったが、「搬送ルール」、「同意書」の正答数で有意差をみとめた。【結論】ICUでの輸血教育は、副作用、実施確認、緊急輸血、搬送ルールについて全体に教育を行うこと。また、輸血取り扱い経験別に同意書の取り扱いや搬送ルールなど、基本的な事項から教育を行うことが必要である。