第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

教育

[O114] 一般演題・口演114
教育04

2019年3月2日(土) 11:05 〜 11:45 第20会場 (グランドプリンスホテル京都B2F ゴールドルーム)

座長:伊藤 真理(川崎医科大学総合医療センター)

[O114-2] 小規模病院のICU・HCUでチーム支援型新人教育を経験した看護師の認識

東辻 朝彦1, 井上 慶子2, 鶴巻 由加里2, 一見 恵美2 (1.千葉大学 大学院 看護学研究科 博士前期課程, 2.綾瀬循環器病院 ICU・HCU)

【背景】新人看護師教育においてプリセプターシップ方式は多くの病院で採用されているが、新人でない看護師や退職した新卒看護師を対象とした研究ではプリセプターと新人看護師の関係性の問題や新人看護師がプリセプターの重荷になっているという懸念が表出されていた。2010年と比較して2012年の新人看護職員離職率は減少しているが、300床未満の病院における減少は僅かであり、中小規模病院における教育体制の整備困難が影響しているといわれている。患者の病状変化や緊急入院、短い在院日数という理由から多忙であるICU・HCUにおけるチーム支援型教育の導入は、新人・指導者それぞれの業務・精神的負担を軽減するものと考えられるが、チームに属するか属さないかでチーム支援教育の印象が異なるという報告がある。こういった背景から、小規模病院の集中治療病棟におけるチーム支援教育に対する認識を明らかにし、立場の違う視点からチーム支援教育を検討するために本研究を計画した。
【目的】小規模病院のICU・HCUでチーム支援教育を経験した看護師の当制度に対する認識を明らかにする。
【方法】チーム支援教育を導入してから10か月後に実施したアンケートの回答結果についてテキストマイニングを用いて統計的テキスト解析を実施。回答結果全体から導き出されるテーマや、立場の違いによる特徴を比較検討する。
【結果】回答結果全体における共起ネットワークでは、多様な視点から指導ができる事や情報共有が出来ていること、安心感、指導者の負担軽減、相談のし易さ、勤務の合い易さといった肯定的なテーマが挙げられた。一方で、複数の新人を対象にするという情報把握の難しさや、指導者による指導方法の違い、個別プリセプター制の方が適している新人の見極めといった意見もあった。立場による違いとして特徴的だったのは、「負担軽減」に関する回答が対象病棟でチーム支援教育に関与していないメンバーから多く聞かれた事、新人が「メンバー誰かと勤務が合うために話し易い」と述べていた事、メンバーからは「新人への関心が増えた」が挙げられた事だった。
【結論】チーム支援教育は指導者・新人どちらにも肯定的な影響を与える可能性がある。本研究において特徴的なのは「負担軽減」という回答がチームを構成していないメンバーから多く聞かれた事であり、チーム支援教育の負担軽減の側面に関しては、立場の違いを考慮する必要性が示唆された。