[O114-4] クリティカルケア領域における新人看護師のリアリティショック軽減へ向けた教育支援体制の構築
【背景】 クリティカルケア領域には重症度の高い患者が入室し、看護師はこのような患者を対象に全身状態の維持や回復を促進させるケアなど高い看護実践能力が求められる。リアリティショックは、就職後3ヶ月時にピークを迎えると言われている。A病院では、看護実践能力向上とリアリティショック軽減を目的に新人看護職員を対象に知識・技術研修と気兼ねなく話せる場を設けたフォローアップ研修を行っている。現在の取り組みがリアリティショックを軽減させることができるか明らかにする。【目的】 フォローアップ研修を行うことでリアリティショックを軽減させることができるかを明らかにする。【方法】 新人看護職員(既卒を含む)10名を対象にリアリティショックの先行文献をもとに64項目の質問紙(人間関係・看護実践能力・身体的要因・精神的要因・業務の多忙さ・仕事のやりがい楽しさ・業務の責任・患者の死に関する対応・離職に分類したもの)とGHQ28尺度を用いて4月と9月に調査を実施。分析方法:新卒看護師と既卒看護師の比較、4月と9月の前後比較についてSPSSを使用しWilcoxon、Mann-whitney検定を行った。本研究においては、研究者の所属施設の臨床研究倫理委員会の承認を得た。【結果】 フォローアップ研修後のGHQ28の結果は、6点以上の対象者は4月6名、9月7名であった。4月の時点で新卒看護師と既卒看護師を比較した結果、既卒看護師の社会的活動障害は有意に高かった(p=0.025)。9月の時点では既卒看護師の社会的活動障害の平均値は低下した。また新人看護師、既卒看護師それぞれの4月と9月を比較した結果、有意差はなかった。 質問紙の結果は、4月の時点で新卒看護師と既卒看護師を比較した結果、有意差はなかったが、9月では新人看護師の看護実践能力の平均値は2.2と有意に低かった(p=0.034)。既卒看護師の4月と9月を比較したところ有意差は認められなかったが、新人看護師は「身体的要因」(p=0.038)「仕事のやりがい楽しさ」(p=0.005)「患者の死に関する対応」(p=0.020)「離職」(p=0.013)の項目で有意差があった。【結論】現時点では、既卒看護師の社会的活動障害は軽減し、リアリティショック構成因子の悪化は認めなかったが、新人看護師は身体的要因など4項目で悪化を認めていることからリアリティショックが軽減しているとは言えない。今後もさらなる支援体制の構築が必要性であることが示唆された。