第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

教育

[O114] 一般演題・口演114
教育04

2019年3月2日(土) 11:05 〜 11:45 第20会場 (グランドプリンスホテル京都B2F ゴールドルーム)

座長:伊藤 真理(川崎医科大学総合医療センター)

[O114-5] ICU看護師の静脈路確保の実態調査

池田 裕美子, 松下 明美, 黒田 美帆, 萩原 綾乃, 牛島 久美子, 澤村 匡史 (社会福祉法人 恩賜財団済生会熊本病院 集中治療室)

【背景】当院では、2018年1月~3月で44名に静脈炎の発生状況を調査。その結果、末梢静脈カテーテル(以下PVC)由来の静脈炎発生率は、13.7%であった。静脈炎が発生した薬剤は、アミオダロン塩酸塩、ノルアドレナリン、ニカルジピン塩酸塩、ドブタミン塩酸塩、バソプレッシン、プロポフォールであった。【目的】当院ICU看護師(以下NS)は、1年目~24年目と経験年数が幅広く、PVCの穿刺部位選択時に静脈炎予防のアセスメントに差が生じ、静脈炎発生に影響していると考えた。NSのPVC確保の実態を調査し、静脈炎予防の為に必要な教育内容を検討する。【方法】経験年数2~24年目のNS44名に1事例を提示し、独自に作成した質問紙を用いて調査した。質問の内容は、穿刺部位、穿刺回数、血管選択の理由で、これらに経験年数による差があるかを比較検討した。【結果】穿刺部位は、右上腕が45%、左前腕が23%、右前腕が14%で、確保困難時の最大穿刺回数は、2回が53%、3回が36%であった。血管選択理由は、正中静脈に挿入36%、血管が見える32%、血管の太さ25%、確実に穿刺できそう18%、浮腫がない16%、スキントラブルがない部位11%であり、経験年数で有意差はなかった。そこで、選択項目を血管の太さ、走行、弾力、屈曲しない部位、神経の走行を避ける、スキントラブルがない部位、関節を避けるとして、追加調査を行った。その結果、血管の太さで経験年数による差を認め(P<0.04)、血管の太さを選択した者は経験年数10年以上で多かった。【結論】ICUでは患者の重症度が高く、NSの経験年数が長いほど太い血管を確保する事が重要視されていると考えられる。また、PVC挿入時に血管選択の基準としている項目は実際に挿入する部位と一致せず、穿刺に推奨されていない部位を選択していた。以上より、薬剤の特性やPVCの合併症等の教育内容の充実を図る為に、院内認定IVナース育成の教育内容の改訂及び、状態が不安定なICU患者に適した観察方法やPVC投与経路の基準作成の必要性があると考える。