[O115-5] せん妄を発症した敗血症患者における自宅退院予測因子の検討
背景】敗血症に関連したせん妄(Sepsis-Associated Delirium; SAD)は,敗血症性脳症の表現型の1つであると考えられており, 感染の結果生じたびまん性脳障害であると考えられている. SADを含むICUでのせん妄は,死亡率の上昇, ICU滞在期間や入院期間の延長,長期の認知機能障害に対する独立した予測因子であると報告されているが, SADのみを対象とした生命予後や機能予後に関しての研究・報告はされていない.
【目的】ICU入室中にせん妄を発症した敗血症患者の機能予後に影響を与える因子を探索的に検討するとともに, 自宅退院の予測因子を検討する.
【対象】2014年5月~2018年4月に当院ICUに入院した20歳以上の内科・外科患者で敗血症の診断となり,在室中にCAM-ICUでせん妄有の評価となった141例(除外:中枢神経障害有,認知症,精神疾患有,入院前からのADL低下有)
【方法】後ろ向き観察研究. 1)自宅退院群:57例と, 自宅以外群:84例の二群に分け,背景因子,重症度,鎮静・鎮痛薬の使用・期間・投与量,代謝障害,人工呼吸管理期間,せん妄分類・期間,昏睡の有無・期間, リハ開始・初回離床・歩行までの期間, リハ開始時・ICU退室時・退院時のMRC, Functional Independence Measure(FIM)およびFIM変化量を単変量解析にて群間比較.2)目的変数を退院時転帰(自宅, 自宅以外), 説明変数を単変量解析にて有意差のあった項目とし,ロジスティック回帰分析を実施.FIM変化量が独立因子として抽出された場合, 自宅退院が可能となる変化量のカットオフ値を算出. 尚, 本研究は北里大学医学部倫理委員会の承認を得て実施した.
【結果】単変量解析において二群間で有意差を認めた因子は,せん妄期間, 昏睡期間, ICU在室日数, 人工呼吸器管理期間,初回離床までの日数,初回歩行までの日数, リハ開始時・ICU退室時・退院時MRC・FIM及びリハ開始~退院時FIM変化量 であった. ロジスティック回帰分析では自宅退院における有意な因子として,リハ開始~退院時FIM変化量(オッズ比:1.06),ICU在室日数(オッズ比:0.88)であった.又, FIM変化量のカットオフ値は64/65点であった.
【結論】リハビリ開始~退院時FIM変化量とICU在室日数はせん妄を発症した敗血症患者の自宅退院の予測因子となることが考えられる. 又, 開始~退院時FIM変化量65点以上が自宅退院のカットオフ値となる.
【目的】ICU入室中にせん妄を発症した敗血症患者の機能予後に影響を与える因子を探索的に検討するとともに, 自宅退院の予測因子を検討する.
【対象】2014年5月~2018年4月に当院ICUに入院した20歳以上の内科・外科患者で敗血症の診断となり,在室中にCAM-ICUでせん妄有の評価となった141例(除外:中枢神経障害有,認知症,精神疾患有,入院前からのADL低下有)
【方法】後ろ向き観察研究. 1)自宅退院群:57例と, 自宅以外群:84例の二群に分け,背景因子,重症度,鎮静・鎮痛薬の使用・期間・投与量,代謝障害,人工呼吸管理期間,せん妄分類・期間,昏睡の有無・期間, リハ開始・初回離床・歩行までの期間, リハ開始時・ICU退室時・退院時のMRC, Functional Independence Measure(FIM)およびFIM変化量を単変量解析にて群間比較.2)目的変数を退院時転帰(自宅, 自宅以外), 説明変数を単変量解析にて有意差のあった項目とし,ロジスティック回帰分析を実施.FIM変化量が独立因子として抽出された場合, 自宅退院が可能となる変化量のカットオフ値を算出. 尚, 本研究は北里大学医学部倫理委員会の承認を得て実施した.
【結果】単変量解析において二群間で有意差を認めた因子は,せん妄期間, 昏睡期間, ICU在室日数, 人工呼吸器管理期間,初回離床までの日数,初回歩行までの日数, リハ開始時・ICU退室時・退院時MRC・FIM及びリハ開始~退院時FIM変化量 であった. ロジスティック回帰分析では自宅退院における有意な因子として,リハ開始~退院時FIM変化量(オッズ比:1.06),ICU在室日数(オッズ比:0.88)であった.又, FIM変化量のカットオフ値は64/65点であった.
【結論】リハビリ開始~退院時FIM変化量とICU在室日数はせん妄を発症した敗血症患者の自宅退院の予測因子となることが考えられる. 又, 開始~退院時FIM変化量65点以上が自宅退院のカットオフ値となる.