[O115-7] ICU専任薬剤師等の介入による鎮痛・鎮静薬の選択と経済的な効果
【はじめに】当院ICUは12床がOpen systemで運用されている。主治医が各診療科の方針や個人的意向で治療を行うため指示内容にバラつきがあり、スタッフ間での情報共有不足や混乱などが生じやすい環境である。2018年5月からICU専任薬剤師が中心となって作成したICU鎮痛・鎮静プロトコルの運用を開始し、各主治医へプロトコルへの準拠、適正な鎮痛鎮静レベルの助言などを、薬剤師、看護師、理学療法士、臨床工学技士がチームでおこなうコメディカルラウンド(1日1回)を通して積極的に行った。今回、その効果について分析した。【方法】対象:鎮痛・鎮静が必要としたICU入室患者(脳血管外科、心臓外科患者を除く)調査期間: 2017年5月~2017年8月(1期:介入前)、2018年1月~2018年4月(2期:介入前)、2018年5月~2018年8月(3期:介入開始後)の3期間に分けた。調査方法:各期間における鎮痛・鎮静プロトコル収載の鎮痛・鎮静薬使用量、使用患者数について診療録を中心に後ろ向き調査を行った。その結果に基づいて使用薬剤数から薬剤費について算出した。【結果】1%ディプリバン注キットは、使用患者数(1期52人、2期38人、3期、32人)、使用量(1期165v、2期212v、3期、142v)と減少した。デクスメデトミジン注:、使用患者数(1期40人、2期24人、3期、29人)、使用量(1期258v、2期141v、3期、70v)と減少した。一方、ミタゾラム注、ブプレノルフィン注、フェンタニル注は使用患者数、使用量ともに増加した。薬剤費は、1期 157,3811円、2期 111,0629円に対して3期は68,7919円(削減率は1期に対して56%、2期に対して38%)と削減された。【結論】鎮痛・鎮静プロトコルに基づく介入を行った結果、各主治医の理解を得て、鎮痛・鎮静薬使用の改善と薬剤費の低減が得られた。一方。RASSを-1から-2の浅鎮静の設定することで鎮静薬の使用量減少を期待したが、逆にミタゾラム使用量が増加する結果となった。今後の検討課題である。