第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

チーム医療

[O116] 一般演題・口演116
チーム医療01

Sat. Mar 2, 2019 3:00 PM - 4:00 PM 第20会場 (グランドプリンスホテル京都B2F ゴールドルーム)

座長:植村 桜(地方独立行政法人 大阪市民病院機構 大阪市立総合医療センター 看護部)

[O116-6] 死産分娩をした肺高血圧症妊婦の急変回避に向けた多職種協働

吉田 順子, 須田 千明, 岩井 栞, 久保木 純子, 鈴木 寛子, 相澤 眞利 (さいたま赤十字病院 CCU)

【背景】肺高血圧症のため妊娠継続が困難となり、妊娠18週で死産分娩を余儀なくされ、急変のリスクが大きいためにCCUにおいて分娩を迎えるという特殊な経験をした。死産分娩を行うにあたり循環器科だけでなく、産科、麻酔科、救急医学科の全4科との連携と、医師、看護師、助産師、臨床心理士、MEの多職種との協働で取り組んだため報告する。【目的】今回の症例を振り返ることで、患者に対してより安全で質の高い看護ケアを含めた医療提供システムのあり方を検討する。【倫理的配慮】さいたま赤十字病院の看護研究審査委員会の承認を得た。患者データは個人が特定されないように匿名性を徹底する。【臨床経過】妊娠15週の20代女性。労作時息切れ、呼吸困難感を主訴に当院搬送。CTにて肺動脈弁の石灰化、経食道エコーにて肺動脈弁に疣贅が認められ、感染性心内膜炎が疑われた。慢性的な肺動脈血栓塞栓症、肺高血圧症を来しているところに、更に左総腸骨静脈に血栓が形成され急性肺血栓塞栓症を併発。肺高血圧症の増悪から妊娠継続が困難と判断された。死産分娩にあたり、子宮収縮による循環血液量の増加による心負荷から急変リスクが大きく、CCUでの分娩が選択された。 分娩までの取り組みについて、まずは患者への安全な医療の提供のために、多職種協働が必須と考え、4科と多職種による合同カンファレンスを行った。そして携わる職種と担当の業務内容と役割の明確化を図るため、前処置から分娩当日までのタイムテーブルを作成した。実際にCCUに分娩ベッドを設置し、助産師、看護師間で急変シミュレーションを行い、迅速な急変対応のための課題の抽出と解決方法の共有を図った。また、死産分娩による悲嘆作業支援のため、臨床心理士や助産師も介入した。急変時にはPCPS(経皮的心肺補助)が必須であったため診療・ケア計画に則り、事前にME,看護師で物品を準備した。分娩当日に救急医学科医師より右頚部、右鼠径部にシースを留置して有事に備え分娩に臨み、無事に終えることができた。【結論】急変リスクがある妊婦患者に関して合併症の発現や急変に備え、職種や部署を超えてチームで共働してシステムを構築したことで、患者の安全が確保できた。多職種協働の背景には、看護師が中心となり調整役や橋渡しとなったことが成功の要因であった。