第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

チーム医療

[O117] 一般演題・口演117
チーム医療02

Sat. Mar 2, 2019 4:00 PM - 5:00 PM 第20会場 (グランドプリンスホテル京都B2F ゴールドルーム)

座長:乾 早苗(金沢大学附属病院 救急部)

[O117-1] ICUにおける多職種チームによる早期理学療法介入への取り組み

吉野 達郎1, 加瀬 美郷1,2, 市川 聡美1, 内山 由紀子1,3, 前谷 祐亮3, 橋田 知明1,2, 渡邉 栄三2 (1.東千葉メディカルセンター 看護部, 2.東千葉メディカルセンター 救急科・集中治療部, 3.東千葉メディカルセンター リハビリテーション部)

【背景】背景】近年、ICUにおける早期理学療法の有用性が注目されている。当院は開院して5年目の救命救急センターであり、ICU専属の理学療法士が不在なことも相俟って、早期理学療法の有用性は理解しているものの実践に至らない現状があった。そこで、多職種連携によるチームを結成し、当院での早期理学療法介入を浸透させる取り組みを行った。【経過】2016年11月から活動を開始した。主に医師・看護師・理学療法士で構成され,平日毎朝に行われるICUカンファレスへの参加と、週1回のICUラウンドを行った.またICUスタッフが早期理学療法へのイメージを共有できるように、患者毎に目標や安静度を記載した表や、具体的に理学療法を行っている写真をベッドサイドに掲示した。そこで、ICU長期入室患者(4日間以上滞在)の理学療法の介入率と、開始までに要した日数を、チーム結成前後の半年間(I群:2016年3~8月・II群:2017年3~8月)で比較した。その結果、介入率は、I群:41.9・II群:54(%)と改善傾向を認めた(N.S.)。そして開始までに要した日数は、I群:5.6±5.46・II群3.2±1.57(日)(Mann-Whitney U-test;P<0.01)と有意に改善した。しかし、実際には理学療法士が勤務している平日・日中のみの実践に留まるものが多く、休日・夜間でも看護師主体で実施されることは少なかった。そこで看護師へアンケートを行い、早期理学療法に対する知識や不安等を調査すると同時に、シミュレーション教育や、多職種とのミーティングを繰り返し行った。その結果、人工臓器補助患者への理学療法の意欲が向上したという回答結果が得られた。そして、実際に臨床の場において、V-V ECMO装着患者への看護師の理学療法介入が向上していた。【結論】当初、早期理学療法の概念はなかなか浸透しなかったが、その障害はスタッフの経験・知識の不足やそれに伴う不安によるものと考えられた。従来の指導方法に加え、多職種連携チームによる啓発や、それに基づいたシミュレーション教育・ミーティングによって、介入度や実践状況の向上に繋がったと考えられた。