[O118-1] 当院の集中治療室(PICU)・準集中治療室(HCU)における長期滞在患者の実態について
【背景】PICU滞在日数は医療資源の利用状況や医療経済を考える上で重要な指標である。PICU長期滞在患者の実態については、少数の患者が長期滞在し、高い死亡率を有することなどが海外から報告されているが、日本からの報告は今までにない。【目的】当院は2016年12月27日に新病院に移転し、重症系部門としてPICU・HCUを開設した。当院PICU・HCUの1年間の入室患者についてまとめ、長期滞在患者の実態について明らかにする。【方法】PICU・HCU滞在日数が28日以上の患者を長期滞在患者と定義する(ただし、最大日数を180日とする)。また、1人の患者が1日滞在した場合をベッド日数1とし、特定の患者群のベッド日数が総ベッド日数に占める割合をベッド占有率として算出した。2016年12月27日から2017年12月31日の期間に、PICUまたはHCUに入院した患者を後方視的に検討し、主な目的として長期滞在患者が占める入室数割合、ベッド占有率などを算出した。また、長期滞在患者の診断名や患者背景についても検討した。【結果】入室患者は1659例であった。入室理由としては心臓血管外科術後141例(8.5%)、心臓血管外科以外の術後542例(32.7%)、呼吸器疾患228例(13.7%)、循環器疾患62例(3.7%)、神経疾患210例(12.7%)、外傷55例(3.3%)、心停止後症候群18例(1.1%)、そのほか403例(24.3%)であった。全患者の平均滞在日数は4.7±12.8日、滞在日数28日未満の患者の平均滞在日数は3.1±4.0日、長期滞在患者の平均滞在日数は66.5±45.9日であった。長期滞在患者は41例(2.4%)と少数ではあるが、ベッド占有率は35.0%と高かった。長期滞在患者の疾患群としては、先天性心奇形などの循環器疾患、気管狭窄などの呼吸器疾患、急性脳症などの神経疾患であったが、特定の疾患群への偏りはなかった。長期滞在患者の死亡は5例(12.2%)であった。【結論】当院PICU・HCUにおける調査でも、諸外国からの報告と同様に少数の長期滞在患者が高いベッド占有率を有することが分かった。日本国内での長期滞在患者の実態を把握するため、多施設での調査をおこなう必要があると考えられる。