[O119-5] 外国人留学生の集中治療室での代理意思決定支援に難渋した1例
【背景】近年、日本の国際化や高齢化社会により旅行、労働、留学などを目的とした外国人人口は増加の一途を辿っており、医療機関でも外国人が受診する機会が増えている。その中で自国と日本との医療水準の違いや文化、社会的な影響を受ける医療の相違が起こっている。そのため外国人の治療に対しては日本と自国の医療の様々な違いや問題を考慮しながら意思決定支援に関わる機会が多くなっていくことが予測される。当院においても年々外国人の受診が増加している中で、重症心不全により集中治療室に入室し、外国人の代理意思決定支援に多職種で関わったが難渋した経験をしたため報告する。
【臨床経過】患者は21歳、男性で日本語習得を目的として外国人学校に通うため東南アジアより来日していた。食欲不振・倦怠感・咳嗽を主訴に来院し、検査の結果、重症心不全の診断で入院となった。入院同日より大動脈バルーンパンピング(以下IABP)を装着し、ICUへ入室。入院9日目に心不全の悪化を認め、CPAとなったためIABPに加え、気管挿管、経皮的心肺補助装置(以下PCPS)を用いての管理となった。その後、一旦は補助循環からの離脱は行えたものの、徐々に全身状態の悪化を認め、第44病日で死亡した。
入院時には留学生であったため、家族は来院することができなかった。そのため病態の説明やIABPを含めた補助循環を使用する診療方針を本人だけでなく、学校責任者に説明した。この間にも外国にいる家族の来院も並行して調整したが、大使館へ状況説明を行ったが、渡航するための経済面の問題や入国査証の許可に時間を要した。結果として入院10日目に母親、42日目に姉が来日することができ、母親にも病状や診療方針の説明を行った。また、経済面では通常の観光外国人の場合は自由診療であるが、留学生であったため本症例では保険診療を受けることができた。死亡後の遺体については母国搬送を試みたが、経済的問題と航路の関係上搬送困難であり、日本で火葬し、遺骨を持ち帰った。
【結論】集中治療室において外国人の重症患者の代理意思決定を支援する際には、患者の文化的な背景や査証手続きに要する時間、医療に対する価値観の相違、経済的な問題、受け入れる病院側のシステムが課題として挙げられた。
【臨床経過】患者は21歳、男性で日本語習得を目的として外国人学校に通うため東南アジアより来日していた。食欲不振・倦怠感・咳嗽を主訴に来院し、検査の結果、重症心不全の診断で入院となった。入院同日より大動脈バルーンパンピング(以下IABP)を装着し、ICUへ入室。入院9日目に心不全の悪化を認め、CPAとなったためIABPに加え、気管挿管、経皮的心肺補助装置(以下PCPS)を用いての管理となった。その後、一旦は補助循環からの離脱は行えたものの、徐々に全身状態の悪化を認め、第44病日で死亡した。
入院時には留学生であったため、家族は来院することができなかった。そのため病態の説明やIABPを含めた補助循環を使用する診療方針を本人だけでなく、学校責任者に説明した。この間にも外国にいる家族の来院も並行して調整したが、大使館へ状況説明を行ったが、渡航するための経済面の問題や入国査証の許可に時間を要した。結果として入院10日目に母親、42日目に姉が来日することができ、母親にも病状や診療方針の説明を行った。また、経済面では通常の観光外国人の場合は自由診療であるが、留学生であったため本症例では保険診療を受けることができた。死亡後の遺体については母国搬送を試みたが、経済的問題と航路の関係上搬送困難であり、日本で火葬し、遺骨を持ち帰った。
【結論】集中治療室において外国人の重症患者の代理意思決定を支援する際には、患者の文化的な背景や査証手続きに要する時間、医療に対する価値観の相違、経済的な問題、受け入れる病院側のシステムが課題として挙げられた。