第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

患者管理

[O119] 一般演題・口演119
患者管理04

Sat. Mar 2, 2019 8:45 AM - 9:45 AM 第21会場 (グランドプリンスホテル京都B1F ローズルーム)

座長:大槻 勝明(総合病院土浦協同病院看護部)

[O119-7] 当院救命救急センターICUにおける人工呼吸患者の身体抑制の実態調査

新山 和也1, 千葉 瑞紀1, 赤羽 美夢1, 栗田 裕子1, 後藤 由梨香1,2, 古田島 太2, 高平 修二3, 根本 学3 (1.埼玉医科大学国際医療センター 救命救急センターICU, 2.埼玉医科大学国際医療センター 集中治療科, 3.埼玉医科大学国際医療センター 救命救急科)

【背景】身体抑制は倫理的な問題だけでなく、せん妄、PTSDなど引き起こすことがすでに報告されており、必要最低限に実施することが求められる。しかしながら、当院救命救急センターICU(以下E-ICU)においても、重篤な患者を収容するICUであり、人工呼吸を受ける患者の生命と安全を第一に、一時的に身体抑制を実施しているのが現状である。今回、E-ICUに入室した人工呼吸患者に対する身体抑制の実態を調査したため報告する。【目的】E-ICUに入室した人工呼吸患者の身体抑制の現状を明らかにすること。【方法】研究デザイン:後方視観察研究 対象:2017年8月1日~2018年3月31日にかけてE-ICU(看護師配置 2:1)に入室し、人工呼吸器(NPPV含む)を装着した患者。人工呼吸中の身体抑制(ミトン、抑制帯の使用)の実施については、電子カルテ上の身体抑制実施記録を確認し、各調査項目においては、電子カルテおよび重症部門システムからデータを得た。死亡患者、人工呼吸中に転出・転院した患者などは除外した。統計分析はMann-whitney U検定など用いて比較検討した。【結果】研究期間中に人工呼吸を受けた対象患者は76名(M 48/F 28)で、その内NPPV装着患者は6名。原疾患として外傷(n=13)が最も多く、次いで蘇生後脳症(n=10)、消化管出血(n=10)、心不全(n=9)などで、緊急手術症例が25名であった。患者の重症度として、Apache2 score が18(12-27)、年齢 66.5(55-74)歳、人工呼吸期間 4(2-7)日で、ICU滞在日数8(4-11)日、在院日数52(14-40)日であった。人工呼吸中にせん妄を発症した患者は18名(24%)で、身体抑制は61%(46/76)の患者が実施されており、1患者あたり2(2-5)日の実施であった。身体抑制実施の有無で比較すると、人工呼吸期間(2日 vs 4日)、ICU滞在日数(5日 vs 9日)で有意差(P <0.05)があったが、在院日数(24日 vs 27日)では有意差はなかった。また、人工呼吸中にせん妄を発症した患者は、有意に身体抑制を実施(11% vs 33%)していたが、気管チューブの自己抜去(17% vs 5%)には有意差はなかった。【結論】当院E-ICUでは人工呼吸患者に対する身体抑制実施率は61%で、1患者あたり2日間の実施であった。各施設における事情を考慮し、身体抑制を減らしていく取り組みが重要である。