[O12-6] 実験モデルを用いたCardio-Pulmonary-Ventilation modeの試用評価
【はじめに】心肺蘇生中における人工呼吸器管理において、胸骨圧迫に伴うオートトリガによる換気回数の増加、気道内圧上昇の可能性が示唆される。今回、AirLiquide社製人工呼吸器monnal T60に搭載のCPVモードを試用する機会を得たため、心肺蘇生用のモデルを用いて実験的に評価したので報告する。【目的】胸骨圧迫中におけるCPVモード(以下CPV)とAssistPCVモード(以下APCV)それぞれにおける回路内圧、換気回数、換気量の比較検討を行う。【方法】心肺蘇生用モデルは、レサシアンファーストエイド(Laerdal Medical社製)を用いて、モデル内の肺は、シリコン製のテスト肺1L容量を2つ取り付けた。人工呼吸器の設定は、CPV、APCVそれぞれ換気回数-10回/分、低圧(PEEP)-5cmH2O、高圧(吸気圧)-20cmH2O、高圧時間(吸気時間)-1.0秒とし、APCVのトリガ感度を10.0L/minとした。胸骨圧迫施行者は当院スタッフ11名で、換気中の実験モデルに対し胸骨圧迫を60秒間行った。また、その時の回路内圧、換気回数、換気量をimtmedical社製フローアナライザ PF-300で測定した。統計は、StudentT検定を用いてp<0.05を有意差ありとした。【結果】CPV、APCVそれぞれの補助・調節換気回数[回/分]は(10.2±0.3vs34.2±10.3:p<0.01)、PEEP[cmH2O]は(4.0±0.1vs3.6±0.3:p<0.01)、最高回路内圧[cmH2O]は(41.1±8.3vs36.9±8.0:p<0.05)、平均回路内圧[cmH2O]は(12.2±2.1vs17.7±2.1:p<0.05)となり有意差があった。分時換気量[l/min]は(6.6±1.6vs8.3±3.2:p=0.063)となり有意差は得られなかったが、APCVの変動係数は0.38でばらつきが大きい結果となった。【結論】胸骨圧迫により胸腔内圧が不安定な環境下において、APCVに対しCPVは換気回数や換気量を比較的一定に管理することが可能であった。さらに、平均気道内圧を抑えることで静脈還流への影響を少なくし、心肺蘇生時の呼吸管理としての有用性が期待できるモードであると考えられる。