第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

患者管理

[O120] 一般演題・口演120
患者管理05

2019年3月2日(土) 09:45 〜 10:35 第21会場 (グランドプリンスホテル京都B1F ローズルーム)

座長:仁科 典子(大阪警察病院看護部管理室)

[O120-1] 排便管理プロトコル導入による効果 ~看護ケアの変化と患者アウトカムの改善に焦点をあてて~

木下 舞1, 我満 幸子1, 森下 幸治1, 森岡 典子2, 湯本 淑江2, 緒方 泰子2 (1.東京医科歯科大学医学部付属病院 救命救急センター, 2.東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科高齢社会看護ケア開発学)

【背景】クリティカルケア領域では、排便障害を起こす患者が多く、消化器機能不全が多臓器不全の原因となることもあり、早期からの排便管理が重要である。しかし、クリティカルケア領域における排便管理に関する効果的な看護ケアの介入方法についての報告は少ない。当院ER-ICUでは、早期からの適切な排便管理を目的とし、排便管理プロトコル(以下プロトコル)を多職種と共に作成した。プロトコルには、観察のポイント、介入のタイミング、便性状に応じた対応方法等が含まれており、2018年4月より全スタッフに勉強会を実施した上で運用を開始した。
【目的】プロトコル導入による看護師の意識、知識、実践力の変化と患者の排便状況への効果を検証することを目的とした。
【方法】プロトコル導入前後を比較した観察研究を実施。調査対象は、当院ER-ICU所属看護師40名、調査期間中に当院ER-ICUに入室した患者で参入基準に合致する者とした。看護師調査として、プロトコル導入前後(2017年10月、2018年7月)に無記名自記式質問紙調査を実施。質問項目には、排便管理に関する実践、意識、知識を問う5段階リッカート尺度を用いた。患者調査として、プロトコル導入前後(2017年10月~12月、2018年4月~6月)に入室した患者の基本属性、排便状況(初回排便までの日数、初回排便時の便性状)をカルテより収集。看護師および患者調査について基本統計量を算出し、プロトコル導入前後で比較した。本研究は東京医科歯科大学医学部倫理審査委員会の承認を受け開始した(承認番号:M2017-082)。
【結果】看護師調査では、16名(回収率40%)回答が得られた。導入前時点での看護師経験年数は1年~25年(平均8.1年)であった。排便に関する実践(最終排便日の確認等)、意識(排便がない場合の介入の必要性等)、知識(正常便の理解等)はプロトコル導入前後で改善がみられた。患者調査の対象者数は、導入前20名、導入後18名であった。平均初回排便日は、導入前6.1日、導入後4.5日であった。排便があった患者のうち、初回排便の便性状が正常であったものは、導入前2名(10.0%)、導入後6名(33.3%)であった。
【結論】プロトコル導入効果として、看護師の排便管理に対する意識や知識が向上し、観察の視点の強化、早期からの排便管理につながった可能性が示唆された。また、初回排便までの日数短縮、初回便の正常化といった患者アウトカム改善も期待できることが示唆された。