[O120-3] A病院HCUにおける申し送り時間短縮化に向けた取り組みとその考察
【背景】A病院HCU(以下HCU)は、緊急入院だけではなく、ポスト集中治療として集中治療領域からの転棟を受け入れているため、平均在院日数3.6日、病床稼働率92.9%と転入室が多く看護師の業務量もそれに伴って多くなっている。看護師の受け持ち患者数は2-3名で最大3名の患者を受け持っているが、転入室が多い事で日々患者情報が更新され、申し送り時間が長時間になりやすく、その分看護師が患者ケアに費やすことの出来る時間が短縮されるという現状があった。そこで業務改善の一環として申し送り時間の短縮を計画し、計画実行前後の申し送り時間を比較検討した。【目的】申し送り方法の変更の効果を測定し、看護の質改善の方法を考察する【方法】研究デザインは調査研究で、調査期間は2017年7-8月および2018年2-3月、対象はHCUに勤務する看護師とした。申し送り時間を短縮するためにフォーマットを定め、フォーマットに従って申し送りを行った。申し送り時間測定には電子カルテの温度板に看護師がその勤務で最初に入力した時間を申し送り終了時間として定め、前後の申し送り時間を比較した。また、初回検温時間、清潔ケア終了までの時間を測定し、前後の時間を比較した。さらに、申し送り方法変更後の看護師の捉え方を知るためのアンケート調査を実施した。統計処理にはSAS University Edition を使用した。なお、本研究は所属施設の研究倫理審査委員会の承認を得て実施した。【結果】対象となった看護師は、24名で、男性3名女性21名であった。平均経験年数は5.5年であった。調査は日勤看護師を対象とした。申し送り方法変更前の平均所要時間は申し送り49.4分、初回検温44.4分、清潔ケア終了まで242.3分だった。変更後では、申し送り37.5分(p<0.001)、初回検温36.2分(p=0.019)、清潔ケア261.30分(p=0.345)だった。申し送り方法に対するアンケート調査では、申し送り時間短縮による情報収集不足等の看護師の不安感は3-4年目の中堅スタッフに多い傾向があった。【結論】申し送り時間は短縮が出来ており、当初の目的を達成できた。その一方、若手スタッフを中心に情報収集の不足などの不安が生じている。清潔ケア終了までの時間に統計上差はなく、申し送り時間が短縮されようとも業務的な所要時間は改善が認められなかった。今後は、短縮された申し送り時間をいかに患者ケアの改善につなげていくかが課題である。