[O120-6] 高度救命救急センターにおける看護ケア必要量スコアリングの活用に関する検討
【背景】当院救命センターはICU、ハイケアユニット、一般病床を有し、患者の最適な療養場所の選択のため、看護ケア必要量を可視化したいと考えた。重症度、医療・看護必要度(以下必要度)の結果は、看護師の主観と乖離があった。救命センターでは、早期離床の援助や、体位ドレナージや吸引など、呼吸ケアに関する人的投入度が高いため、離床への援助の項目を追加し、呼吸ケアの点数を加算した独自の看護ケア必要量スコアリング(以下スコアリング)を作成し、2017年度から結果を患者毎に色分けし、患者ボードに掲示、カンファレンスで共有した。【目的】スコアリングが看護ケア必要量の把握に役立つのか、また部署単位での看護量を反映する指標となり得るかを検討する。【方法】看護師にスコアリングの開始前(44名)と後(55名)にアンケートを実施し、看護ケア必要量の把握の程度を比較した。また、一般病棟へ部署間連携で人員を補充した時間と、必要度の該当患者割合およびスコアリングの部署平均に相関関係があるのかを後方視的に調査し、部署の看護量を反映しているかを検討した。【結果】スコアリング開始後に、自部署の看護ケア必要量の把握が上昇した。自由回答では、トイレ介助や、頻回なナースコールへの対応などスコアに反映されない看護ケアへの負担が大きい、スコアリング入力が負担との意見があがった。2017年10月から3月の一般病棟の部署間連携で人員を補充した時間と、看護ケア必要量の平均値には強い相関(スピアマン相関係数0.943 P値 = 0.0167)がみられたが、必要度の該当患者割合との相関は見られなかった。【考察】必要度と比較してスコアリングの方が部署の繁忙度を反映している可能性が高く、救命センターにおいて、離床や呼吸ケアへの援助の負担が大きいことを反映していると推察される。部署の看護力の相対的なキャパシティーが、患者の療養場所の選択に影響すると言え、部署のスコアリング平均も踏まえて患者移動を検討することが安全で十分なケアの提供につながると言える。また、看護ケア必要量の把握に、ボード掲示など目にする機会が増えたことが影響したと考えられる。タイムリーに更新でき、可視化しやすく、入力が簡便化されるように、電子カルテと連動して算出されるシステムが望まれる。【結語】看護ケア必要量スコアリングは部署の繁忙度を把握する一助となり、看護ケア必要量の把握に役立った