[O123-1] 早期離床を実施したICU患者における退院時歩行能力に影響する因子
【背景】 ICU入室患者の生存率は改善を示している一方で,生存患者の身体運動機能やADL,なかでも歩行は制限されやすい.ICU入室後の早期離床は身体運動機能の低下予防やADLの早期獲得に効果的であり,さらに退院時の歩行自立患者を増加させる.しかし臨床的には,早期離床を実施しても歩行能力が低下する患者を少なからず経験し,このような患者の臨床的特徴はこれまで明らかになっていない.
【目的】早期離床を実施したICU在室患者において,退院時に歩行能力の低下を認めた患者の臨床的特徴を明らかにすることとした.
【方法】単施設の後方視的観察研究で行った.対象は2016年4月から2017年3月までに当院closed ICUに初回入室の患者とした.適格基準は18歳以上,ICU入室時間が48時間以上,ICU入室前の歩行自立,生存退院とした.除外基準は神経筋疾患の既往および合併,外傷,切断,肺移植術後,補助人工心臓装着術後とした.対象者は全例,ICU入室中から退院(あるいは転院)までリハビリテーションを実施した。歩行能力は独歩自立,補助具使用にて自立,自立未獲得の3段階で評価し,ICU入室前と退院時で比較,段階の低下を認めた場合を歩行能力低下と定義した.評価項目は対象者背景,ICU治療関連項目,端座位,立位および歩行の開始日とした.統計解析は歩行能力低下の有無を目的変数とした単回帰分析を行い,その結果をもとに説明変数を選択した後に多重ロジスティック回帰分析を行った.
【結果】全対象者は462名で,解析対象となったのは162名であった.年齢 68歳(中央値),男性101名(62%),BMI 22.7kg/m2(中央値)であった.40名(25%)で歩行能力低下を認め,そのうち6名(4%)が入院中に歩行開始に至らなかった.その6名を除いた156名を対象に単回帰分析を行い,結果および妥当性,かつ多重共線性を考慮し,説明変数を年齢,BMI,APACHEIIスコア,入室前KaztのADLスコア,入室前Performance Status,敗血症の有無,CHDFの有無,MRCスコアが36未満,人工呼吸管理期間,ICU在室日数,端座位,立位および歩行開始日を選択し,多重ロジスティック回帰分析を行った.その結果,歩行開始日(OR 1.12,95%CI 1.03-1.23)が有意に影響を及ぼしていた.
【結論】患者の年齢や重症度に関わらず,退院時の歩行能力には歩行の開始が有意に影響する可能性が示された.
【目的】早期離床を実施したICU在室患者において,退院時に歩行能力の低下を認めた患者の臨床的特徴を明らかにすることとした.
【方法】単施設の後方視的観察研究で行った.対象は2016年4月から2017年3月までに当院closed ICUに初回入室の患者とした.適格基準は18歳以上,ICU入室時間が48時間以上,ICU入室前の歩行自立,生存退院とした.除外基準は神経筋疾患の既往および合併,外傷,切断,肺移植術後,補助人工心臓装着術後とした.対象者は全例,ICU入室中から退院(あるいは転院)までリハビリテーションを実施した。歩行能力は独歩自立,補助具使用にて自立,自立未獲得の3段階で評価し,ICU入室前と退院時で比較,段階の低下を認めた場合を歩行能力低下と定義した.評価項目は対象者背景,ICU治療関連項目,端座位,立位および歩行の開始日とした.統計解析は歩行能力低下の有無を目的変数とした単回帰分析を行い,その結果をもとに説明変数を選択した後に多重ロジスティック回帰分析を行った.
【結果】全対象者は462名で,解析対象となったのは162名であった.年齢 68歳(中央値),男性101名(62%),BMI 22.7kg/m2(中央値)であった.40名(25%)で歩行能力低下を認め,そのうち6名(4%)が入院中に歩行開始に至らなかった.その6名を除いた156名を対象に単回帰分析を行い,結果および妥当性,かつ多重共線性を考慮し,説明変数を年齢,BMI,APACHEIIスコア,入室前KaztのADLスコア,入室前Performance Status,敗血症の有無,CHDFの有無,MRCスコアが36未満,人工呼吸管理期間,ICU在室日数,端座位,立位および歩行開始日を選択し,多重ロジスティック回帰分析を行った.その結果,歩行開始日(OR 1.12,95%CI 1.03-1.23)が有意に影響を及ぼしていた.
【結論】患者の年齢や重症度に関わらず,退院時の歩行能力には歩行の開始が有意に影響する可能性が示された.