[O125-2] 開心術予定患者に対する術後のスムーズなADL回復に向けた術前介入
1.背景:超高齢社会となり、入院前から手術に向けて準備を整えるための術前介入の必要性が、高まっている。当院でも、予定手術の場合、外来受診時から術後の回復促進を見据えた術前介入が、行われている。しかし、開心術を受ける患者に対しては、看護師配置の関係から術前介入を行っていない現状がある。開心術を受ける患者も平均年齢72.3歳と高齢化が進み、術前から生理的予備能力が低下するフレイルを認める患者が、多くなっている。院内集中治療病棟(以下、ICUと略す)において、開心術の患者は、在室日数も最も長い。このことから、開心術を受ける患者に対しても術前介入が必要であると考えた。本研究は、術前介入導入による開心術患者の離床日数短縮の効果について検討したので報告する。2.目的:開心術後の離床日数の短縮3.方法:対象患者…開心術予定患者介入方法…ICUで行っている術前オリエンテーションの内容、外科外来で使用している術前オリエンテーションの内容、検索した文献に基づいて術前オリエンテーション及び術前情報収集用紙を作成し、開心術予定患者に対して、麻酔科外来受診時に術前介入を実施する。主要評価アウトカム…術前介入実施前6か月分の開心術患者を術前未介入群として、術前未介入群と術前介入群を、70歳以下と71歳以上に分けて、術後リハビリ進行状況(初回立位リハビリ開始日、30m歩行実施日、100m歩行実施日、初回エルゴメーター実施日)の比較検討を行った。4.結果:70歳以下では、術後リハビリ進行状況に有意な差は認めなかった。一方、70歳以上では、初回立位が2.57日から1.58日となった。また、30m歩行が4.14日から2.83日となった。次に、100m歩行が5.0日から4.08日となった。最後に、初回エルゴメーター実施日が、14.0日から10.5日と、術後の離床日数の短縮を認めた。5.結論:術前介入を行うことにより、高齢群において有意義に結果が得られた。超高齢社会となり、ICUに入室する患者も高齢化が進んでおり、術後の離床日数短縮に向けて、早期からの介入が必要である。