第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

リハビリテーション

[O126] 一般演題・口演126
リハビリテーション12

2019年3月2日(土) 16:40 〜 17:40 第21会場 (グランドプリンスホテル京都B1F ローズルーム)

座長:森沢 知之(兵庫医療大学リハビリテーション学部)

[O126-1] 当院独自の早期能動的運動療法および早期離床プロトコルの有用性の検討

今井 正太郎1, 立石 順久2, 大島 拓2, 古川 誠一郎1, 稲垣 武1, 大垣 貴史1, 河内 由菜3, 天田 裕子1, 村田 淳1, 織田 成人2 (1.千葉大学医学部附属病院 リハビリテーション部, 2.千葉大学大学大学院医学研究院 救急集中治療医学, 3.千葉大学医学部附属病院 看護部)

【背景】2017年、当学会より早期リハビリテーション(以下、リハ)のエキスパートコンセンサスが公表され、早期リハの標準的治療指針が示された。現在多くの施設でこれに沿って早期リハが実践されており、今後エビデンスの構築が待たれる状況にある。我々は、独自の早期能動的運動療法プログラム(以下、能動リハ)を作成し、2010年の当学術集会において、リハ開始時に運動強度が高い群、あるいは早期に強度を上げることが出来た群で離床をより促進したことを報告した。現在新たに早期離床プロトコルも作成し運用している。一方、ベッド上超早期からの運動は必ずしも良好な転帰に寄与しないとの報告もあり、リハ介入も質が問われる時代に突入したといえる。また、ICU-AWは数年にわたって重症疾患罹患後の生存患者の運動機能を低下させる場合があるとされ、早期リハが長期予後に影響する可能性があると考えた。
【目的】能動リハおよび離床プロトコルの現状を調査し、長期予後との関係を明らかにすること。
【方法】対象は2018年1月から3月の当院ICU新規入室患者467例(平均63.88歳)のうち、調査項目データの取得が可能なリハ実施患者70名(平均62.93歳)とした。入室時SOFA、リハ開始時および一週間後の能動リハ運動強度、ICU内での離床プロトコル進度、追跡し得る転帰について、電子カルテより後方視的に調査した。
【結果】6段階ある能動リハの開始時に運動強度が強い(段階3以上の)患者は、APACHE IIが有意に低く(p<0.0001)、SOFAスコアも低く(p=0.0015)、有意に退院患者が多く(p=0.0036)、端座位到達患者が多かった(p=0.0395)。開始時に低強度であった(段階3未満の)患者35例を、1週後も低強度に留まった群(低-低群)と高強度に移行した群(低-高群)に分けた比較では、APACHE II(p=0.2045)、SOFA(p=0.4723)に2群間の差を認めなかったが、低-高群は低-低群と比較して有意に退院が多く、死亡が少なかった(p=0.0115)。また、有意に端座位達成患者が多かった(p=0.0003)。
【結論】リハ開始後一週間以内での運動強度の推移が、重症度によらず離床進度や転帰に関連することが示された。能動リハの運動強度推移は予後予測の指標となる可能性があり、個々の患者で効率の良いリハ治療方法の選択や、適切な療養先選択の参考となる事が考えられた。