第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

鎮痛・鎮静・せん妄

[O127] 一般演題・口演127
鎮痛・鎮静・せん妄03

2019年3月2日(土) 08:45 〜 09:45 第22会場 (グランドプリンスホテル京都1F ロイヤルルーム)

座長:吉里 孝子(熊本大学医学部附属病院)

[O127-1] PICU看護師・医師の鎮痛に対する意識調査

山内 彩1, 内山 真希1, 新井 朋子1, 猪瀬 秀一1, 田中 拓2, 荻原 重俊2 (1.東京都立小児総合医療センター 看護部 看護科, 2.東京都立小児総合医療センター 救命・集中治療部 集中治療科)

【背景】A病院小児集中治療室(以下PICU)に入室する患者は、周手術期の治療や体外式膜型人工肺装置管理を行うに当たり、大きな侵襲を伴う処置を要する。そのため、入室患者の多くは苦痛・疼痛緩和を目的に、鎮痛剤・鎮静剤を持続的に投与している。PICUのスタッフは看護師・医師ともに経験年数は様々であり、患者の鎮痛・鎮静管理に関する認識に個人差が生じている可能性があった。また、痛みの評価においてはPICUで統一したスケールが無く、看護師の経験等により鎮痛スケールを使用するか否かを判断している現状があった。そこで、鎮痛管理の現状を知り、統一した認識の下で鎮痛管理が行える環境を構築したいと考え、A病院PICUの看護師・医師の鎮痛に対する考え方について意識調査を行った。【方法】対象は、アンケート配布時に、A病院または他病院においてPICU経験年数が1年以上の医師・看護師の内、アンケート結果を学会発表することに対し協力意思が得られた者とした。アンケートの回答方法は、無記名とし、属性を職種と経験年数で分け個人を特定できない内容とした。調査項目は、「痛みの評価の必要性」「鎮痛薬の投与時期」「鎮痛が不必要な患者」「痛みの評価方法」「現状の鎮痛管理に対する満足度」「鎮痛スケールに関する知識」「医師・看護師間における鎮痛管理についての情報共有の現状」「鎮痛薬と鎮静薬の使い分け」とした。【結果】PICUに入室する全患者に疼痛評価が必要だと思っている看護師と医師の割合に差はなかった。また、全患者に疼痛評価が必要だと思っている看護師の経験年数による差はなかった。全患者に疼痛評価が必要ないと考える医師は、治療の侵襲度が低い管理を行なっている患者を疼痛評価の対象外と考えていた。鎮痛スケールについて、医師は患者の状態に合わせた複数のスケールを把握していたが、看護師の多くはコミュニケーションを図ることができない患者に使用するスケールを把握していなかった。鎮痛管理に対する満足度は、看護師・医師ともに低かった。PICUでは、成長発達や治療上コミュニケーションを図れない患者が多く、鎮痛の度合いを評価することが難しいと感じていた。【結語】痛みの捉え方や、鎮痛スケールに対する認識は看護師と医師で異なっていた。統一した管理のもとで疼痛評価を行なうためには、知識の共有と患者の状態に合わせた鎮痛スケールを使用することが必要と考えられた。