第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

鎮痛・鎮静・せん妄

[O127] 一般演題・口演127
鎮痛・鎮静・せん妄03

Sat. Mar 2, 2019 8:45 AM - 9:45 AM 第22会場 (グランドプリンスホテル京都1F ロイヤルルーム)

座長:吉里 孝子(熊本大学医学部附属病院)

[O127-2] PICS予防策施行後に記憶のゆがみを生じた一症例

安西 馨, 野村 幸子, 額田 麻奈美, 橋田 由吏 (香川大学 医学部 附属病院)

当院ICUは主に、定期手術後患者・緊急手術後患者・院内急変患者が入室しており、平均在室日数は3.1日である。日中は患者の状態に応じ可能な限りlight Sedationとし離床を進め、夜間は入眠を促すように努めており、せん妄を発症する事も少ない。
今回、甲状腺全摘出手術・縦隔腫瘍摘出手術終了時に挿管チューブを抜去するが、反回神経損傷から再挿入となりICUに緊急入室となった患者を担当した。人工呼吸器離脱に難渋しICU退室までに15日を要したが、その間にPICSの予防策と言われている日中覚醒,適切な鎮痛・鎮静薬の選択,自発呼吸トライアル,早期リハビリテーションを継続し一般病棟へ退室となった。退室時には軽介助で立位がとれ、歩行器を使用し呼吸器装着のままでの歩行が可能、家族や看護師とlip sync やライティングボードを用いてコミュニケーションも図れている状態であった。しかしICU退室後リハビリも進み、退院が検討され始めた頃に病棟看護師と共にICUを訪れた患者からは、「ICU入室中の記憶がない」、「折り紙の帽子を被った小人が見えた」などの言葉が聞かれた。
本症例では集中治療後にICU入室中の記憶の欠落や混乱といった記憶のゆがみを認めていることが明らかになったため、ICUでのPICS予防のための取り組みについて症例を振り返り報告する。
近年、記憶の整理をする看護ケアとしてICUダイアリーの活用が報告されている。今後は自施設でもICUダイアリーの導入を検討する。