[O127-5] ICU患者に対する音楽介入による心理的変化
【目的】ICU入室中のストレスの原因として騒音や照明などの独自の環境があると言われている。当院のICUではストレスの軽減やせん妄予防法として主にラジオを流し、日常臨床実践の一部で音楽介入を取り入れている。しかし、本邦における患者の個別性を尊重した音楽介入や必要な嗜好の調査報告、研究は少ない。本研究では、ICU 入院患者の音楽の嗜好に沿った音楽を聞いた群と日常臨床実践の一部で行なっているラジオやクラシックを聞いたときの心理状態の変化明らかにすることを目的とした。【方法】A病院 ICU・CCU に入室した患者 26 名(緊急入院患者:19名 、予定手術患者:7名)を対象とし、音楽はタブレットを用いて患者にイヤホンで提供した。音楽の嗜好に関してはアンケート用紙を用いて自由記載で行った。音楽のジャンルの回答に関しては好きなアーティストよりラベルリングを行い抽出した。回答群には嗜好に該当する音楽をランダムに再生し、非回答群にはFMラジオまたはクラシックをランダムに再生した。また、音楽を聴いた時に生じる感情を4分類し、患者が視覚的に評価出来るようにチャート化し、評価にはそのシートを用いた。【倫理的配慮】本研究はA病院倫理委員会の承認を得た上で実施した。【結果】嗜好についての回答は15名(緊急入院患者12名、予定手術患者:3名)。JPOP:5名、クラシック2名、洋楽:2名、歌謡曲2名、演歌1名、その他2名であった。嗜好の非回答者は11名だった。アンケート介入時期は回答群は入室後3±3,9日 非回答群は入室後3±4,0日であった。回答群への介入95回のうち75.7%は心理状態が軽快したと回答。非回答者では介入37回のうち37.8%が心理状態が軽快した。【結論】入院中の患者の音楽の嗜好に一貫性はなかったが、個々の嗜好に合わせた音楽介入を行なっていくことで患者の心理状態は軽快することが示唆された。環境因子の一つであると考えられる音に対して患者が望む音楽を取り入れることで、患者が過ごす入院環境の改善に寄与できる可能性がある。個別性を踏まえたケア介入を行うためにも、今後データ数を増やし音楽介入の効果を検討する必要がある。