第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

鎮痛・鎮静・せん妄 研究

[O128] 一般演題・口演128
鎮痛・鎮静・せん妄 研究03

Sat. Mar 2, 2019 9:45 AM - 10:35 AM 第22会場 (グランドプリンスホテル京都1F ロイヤルルーム)

座長:山室 俊雄(奈良県立医科大学附属病院救命救急センターICU)

[O128-6] インシデントレポートから見えたライン自己抜去患者の特徴とせん妄との関連

工藤 綾乃, 北山 未央, 北浦 可陽, 田口 利恵 (金沢医科大学 看護学部)

【背景】ICUでの成人患者のせん妄は予期しないライン類の自己抜去の増加と関連しており、日本全国のICUおよび外科病棟を対象とした研究でもせん妄患者による発生が多いことが分かっている。A病院のICUではライン類の自己抜去に関する予防対策は担当看護師に委ねられており、せん妄との関連を詳細に分析はしていない。そこでICUで生じたインシデントレポートからライン類の自己抜去をした患者の状況とせん妄との関連を後視的に調査した。【目的】非せん妄患者と比較し、せん妄患者でのライン類の自己抜去の割合が高い可能性がある。【方法】観察研究である。2017年4月から2018年3月までに入室した18歳以上の成人患者を対象とする。インシデントレポートより、自己抜去をおこした患者のせん妄発症の有無、せん妄についての看護診断の立案の有無を調査する。また、自己抜去の時間帯を9時~17時、17時~21時、21時~9時の時間帯に区分し発生件数をみる。さらに、自己抜去を起こしたときの患者の特徴を抽出する。【成績】2017年度のライン類の自己抜去件数は22件であった。そのうち17件はせん妄発症患者での自己抜去であり、発症率は77%であった。しかし、自己抜去の発見時にはCAM-ICUでは陰性と評価されているケースが散見され、中には聴覚ASEを全て正答していても、その直後に自己抜去をしているケースもあった。インシデントレポートを調査すると患者の特徴として「ラインに触る、気にする様子がある」「多弁」「幻視がある」「頻繁に起き上がろうとする」「ライン挿入位置を答えることができない」「ぼんやりしている」「落ち着きがない」「認知症がある」「病識が不十分」「繰り返しの説明が必要」といった因子が挙げられた。また、自己抜去を起こした時間帯として17時~9時の夜勤帯で86%を占めていた。さらにせん妄予防の看護診断が立案されていない割合が30%認められ、予防の対策が遅れている可能性があった。【結論】せん妄患者でのライン類の自己抜去発生率が高く、発生時にはCAM-ICUで陰性となるケースがあった。抽出した患者の特徴をせん妄のハイリスク因子として判断し、対応策を検討する。