第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

リハビリテーション

[O129] 一般演題・口演129
リハビリテーション13

Sat. Mar 2, 2019 10:35 AM - 11:35 AM 第22会場 (グランドプリンスホテル京都1F ロイヤルルーム)

座長:竹田 健太(兵庫医科大学集中治療医学科)

[O129-5] 腹臥位療法および健側胸郭を固定しCough Assist®を導入したPCAS患者の理学療法経験

守屋 正道1, 山口 順子2, 伊原 慎吾2, 堀 智志2, 澤田 奈実2, 桑名 司2, 木下 浩作2 (1.日本大学医学部附属板橋病院 リハビリテーション科, 2.日本大学医学部救急医学系 救急集中治療医学分野)

【背景】本邦のARDS診療ガイドラインをはじめATS,ESICM,SCCMのガイドラインは,ARDS患者において腹臥位療法の実施を推奨している.今回,PaO2/FiO2(P/F)比190の心停止後症候群(PCAS)の患者に対して,介入初期より腹臥位療法を実施したのに加え排痰補助装置Cough Assist E70®(以後E70)(フィリップス社)を導入した経験を報告する.【臨床経過】 80代男性.心停止のため,当院救命救急センターへ転院搬送された.ICU入室時,自己心拍再開し意識レベルの改善が見られ, 早期に人工呼吸器離脱を試みたが酸素化不良が遷延し,ICU day9に理学療法を開始した.介入時,人工呼吸器管理(CPAP FiO2:0.3 PEEP:8 PS:5)で, 循環動態は安定していた.意識レベルはJCSI-3,著明なROM制限はなくMMT2-3程度,ICU Mobility Scale(IMS)は0点であった.CT所見は,両側下葉および上葉背側にすりガラス影・浸潤影,両側下葉に無気肺を認めた.BMIは18.3で, 呼吸筋力の低下が著しく咳嗽自体が困難であった.理学療法は,体位呼吸療法およびE70を導入した.腹臥位を含めたポジションニングを適宜選択し一定肢位を連続4時間以上持続させた.右側優位の無気肺に対し,腹臥位療法中は左胸郭を徒手で固定しE70を導入することで,右側へのエアエントリーを改善させた.ICU day14に人工呼吸器を離脱しNasal High Flow(Total flow:50L/min FiO2:0.43)を導入したが,Rapid shallow breathing index(RSBI)は、109で,十分な咳嗽不可・痰が多量・努力呼吸・低栄養(CONUT12点)にて再挿管のリスクが高いと考えた.引き続き座位でE70を使用し,痰を吸引した.ICU day24にP/F350まで改善し,段階的にADLトレーニングを展開させ立位練習や車椅子乗車が可能となりICU退室(IMSは5点)となった.【結論】 咳嗽困難なPCAS患者に対して腹臥位療法とE70を導入した.効率的にエアエントリーを得られたことが無気肺を改善させ早期抜管に至り再挿管を回避したと考える.