第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

鎮痛・鎮静・せん妄 研究

[O130] 一般演題・口演130
鎮痛・鎮静・せん妄 研究04

2019年3月2日(土) 14:00 〜 14:50 第22会場 (グランドプリンスホテル京都1F ロイヤルルーム)

座長:福田 友秀(東京都済生会中央病院)

[O130-4] 眠りSCANを用いた当院HCUにおけるせん妄と活動量の関係性

木村 友美1, 小松 真帆1, 松永 絵利1, 佐藤 千恵1, 太田 早苗1, 森川 大樹2, 藤谷 茂樹2 (1.地域医療振興協会 伊東市民病院, 2.聖マリアンナ医科大学病院救急医学集中治療部)

【背景】当院HCUの「せん妄における実態調査研究」において、せん妄あり群はせん妄なし群に比べ、在室日数が平均4日間長いという結果を得た。せん妄の発症予測は患者の予後改善に重要である。今回CAM-ICUに加え、体動振動により呼吸数・心拍数を測定できる非装着型睡眠計(以下、眠りSCAN)を使用し、活動量からせん妄発症予測との関連性を検証した。検証を進めるにあたり、CAM-ICUにおいてせん妄あり群に分類された患者の大多数に活動量と同時に、呼吸・心拍数の振り幅も大きくなっている点に注目し、NEWSを活用し重症化との関連性も検証した。【方法】平成28年10月17日から平成28年11月16日のHCU入院患者のうち、非鎮静下にある患者に対して前向きに観察研究を行った。対象患者に眠りSCANを設置、一日三回の定時刻にCAM-ICU評価と眠りSCAN測定データである活動量、バイタルサイン値をNEWSにて評価した。また、活動量について昼夜との関係性を含め検証するために時間帯を日中(6:00~20:59)、夜間(21:00~5:59)に分け活動量を数値化し、また、せん妄あり群とせん妄なし群に分け活動量と測定期間内での最高値のNEWSによる結果を比較検証した。【結果】上記期間中に入院した研究対象患者40名の中で、眠りSCANにより活動量が基準値を超えた患者は日中19名、夜間18名であった。このうち、せん妄を発症した患者は日中8名、夜間11名であり、夜間の11名の中には日中せん妄を発症した8名が含まれていた。日中、夜間を通してせん妄あり群の活動量は、平均103.02、せん妄なし群は、平均91.80であった。また、せん妄あり群とせん妄なし群の日中と夜間の活動量の差をt検定で分析した結果、せん妄あり群とせん妄なし群では(14.8 vs 52.5、P=0.031)と有意差を認めた。せん妄あり群は昼夜の活動量に差がほとんどなく、せん妄なし群は昼夜の活動量に差が大きく表れた。さらに、対象患者40名中、NEWS5点以上の患者は32名、うちせん妄あり群16名のNEWS平均点は7.31、せん妄なし群24名の平均点は5.33と、せん妄あり群の方が、NEWS平均点が高い結果となった。(P=0.03)【結語】眠りSCANを使用することで、活動量とせん妄の関係性が明らかとなった。また、NEWSを活用することで、さらなる重症化との関連性が示唆された。