[O130-6] 腹臥位療法における鎮痛・鎮静管理の現状
【はじめに】当院では重症呼吸不全症例に対し腹臥位療法を取り入れている。人工呼吸器装着症例に関して、独自の鎮静・鎮痛プロトコルを用いており、腹臥位療法においても、特別な鎮静管理は実施していない。severeARDSでは特にチューブやライン類が多く、当院ではV-VECMO装着患者でも腹臥位療法を行っており、安全に腹臥位療法を実施するには鎮静・鎮痛管理は重要であると考える。そこで、現在行っている腹臥位療法中の鎮痛・鎮静管理の現状を明らかにすることは、腹臥位中に起こりうるリスクを軽減することに有用と考える。【目的】腹臥位療法中の鎮静・鎮痛管理の現状を明らかにする【研究方法】調査期間:平成28年5月~平成30年8月 対象:V-VECMO装着下で腹臥位療法を実施した患者5名 方法:カルテより、V-VECMO装着下で腹臥位療法を実施した患者の、腹臥位実施期間・実施時間・鎮痛・鎮静深度を収集し、単純集計にて腹臥位実施時のプロトコル除外率・プロトコル外の指示率・プロトコル中断症例を抽出し、考察した。【倫理的配慮】個人情報は匿名とし、研究データは本目的以外では使用しない。【結果】プロトコル下で腹臥位を行ったのは5名で、内1名はプロトコル使用中止となっていた。開始前のRASSは-3 ~-5 で、CPOTは0 ~0.5であった。開始前のRASSが深い患者では腹臥位中のRASS・CPOTとも変動が少ないが、RASS-3 から開始した患者では変動が大きい傾向にあり、プロトコルコル内・外での薬剤調整を要した。プロトコル内で薬剤調整したのは23回で、プロトコル外での薬剤投与が12回と全体の66%だった。実施中のRASSの変動が少ない患者では2時間以上継続して腹臥位を実施していた。【考察】開始前はRASS-4以上でないと腹臥位中のCPOT上昇を来たしており、腹臥位をとることの苦痛の表れであると考える。開始前のRASS・CPOTは腹臥位実施中のRASS・CPOTに影響していると考えられ、通常のプロトコル下では苦痛なく腹臥位を長時間実施するのは困難であると言える。予定外薬剤投与は実施後のRASS・CPOTの変動が少ない症例でも投与されていた。これは、実施中にRASS・CPOTが変動しそうになったときに予防的に追加投与をしているからであり、V-VECMO装着中の腹臥位実施のリスクを考え早めに薬剤追加を検討しているからと考える。【結語】腹臥位療法中の鎮静・鎮痛管理は、開始前の鎮静・鎮痛深度が浅いと頻回に薬剤調整・追加薬剤を使用していた。